今日のことば

11/22 金曜日

アポロの業績

宇宙船アポロが月に到着したとき、私は、米国のマサチューセッツ工科大学のクラブ・ハウスで開かれた宗教者の会議に参加していました。いよいよ月面に飛行士たちが降り立つというときには、会議をしばし中断して全員がテレビの前に集まり、画面を見つめたものでした。その後、いろいろな人から「あなたは月に行きたいと思うか」といった質問を受けるようになりました。

経文には、お釈迦さまがこの娑婆(しゃば)国土を治められる仏さまであることが書かれております。私たちは、そのお釈迦さまの教えを奉ずる仏教徒として、縁あってこの地球上に生を享(う)けたわけです。月に行くことは科学者にまかせて、まず足元の地球を寂光土にすることにつとめなければならないと思うのです。

アポロが私たちにもたらしたものは、科学の進歩のすばらしさもさることながら、それにもまして、この地球を他の星から客観的に眺(なが)められる時代に入ったことだと思うのです。それによって従来の人間の狭い世界観、価値観に反省と変革が求められることになりましょう。アポロの業績として、それがいちばん大きく評価されるところではないか、と私は思うのです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 180~181頁より
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