今日のことば

12/21 日曜日

自分の苦の滅だけでは

これまでのような目覚ましい経済成長は、もはや望めなくなった今日(こんにち)、人びとは奢侈(しゃし)に流されず、「少欲知足」の心構えで暮らさなければならないと、私はしばしば申してまいりました。

「もっとあれが欲しい」「これが欲しい」とあくせくする生き方から脱却するのには、いま自分に与えられているものに満足し、感謝する気持ちを持たなくてはならないのです。この地球上には、まだ満足に三度の食事もとれない人びとが、いっぱいいることを忘れてはなりません。

お経文には「我等内(ない)の滅を 自ら足ることを為(え)たりと謂(おも)う」という言葉があります。「内の滅を自ら足ることを為たり」とは、自分の苦だけ滅すれば、もう十分だと思い込むことです。「足るを知る」という言葉に似ていますが、まったく違う意味で、自分の苦がなくなるだけで自己満足しているのは大きな間違いである、と仏さまは戒めておられるのです。

自分さえ救われれば、人の苦などにはまったく無関心というのでは、自分の本当の救われも約束されないのです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 280~281頁より
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