今日のことば

12/19 金曜日

「自在」の心境

『法華経』を拝読しておりますと、「無繋(むけい)」という言葉が出てきます。繋とは、つなぎとめることで、船が流されないようにするためにロープでつなぎとめておくのを繋留するというように使います。

私たちはいつも、「あれが欲しい」「これが欲しい」と、自分の欲というロープで自分の体をしばりつけてしまっているのです。無繋は、自分で自分をしばりつけているそのロープを解き放ってしまった状態です。言うなれば、なにものにもとらわれない淡々とした心境といえましょう。

また、『法華経』には「自在」という言葉も出てきます。自由自在の自在です。それがいまは、わがまま勝手、したい放題、自己中心の振る舞いにまで誤用されるようになってしまいました。まことに遺憾(いかん)というほかはありません。

本当の「自在」とは、自分を取り囲む環境に振り回されないことです。たとえば、お金があっても驕(おご)らない。また、お金がなくても餓鬼(がき)、畜生に陥ることがない。そういう日々是好日(にちにちこれこうにち)の心境です。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 276~277頁より
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