今日のことば

11/27 木曜日

男の科白(せりふ)

かつて阪神タイガースの名投手といわれた村山実(むらやまみのる)さんと、巨人軍の長嶋茂雄さんがテレビで対談されているのを拝見しました。選手時代のお二人は好敵手であったわけです。その昔、互いに全力を振り絞って相対したご両人だけに、極めてさわやかな話し合いでした。

その対話の中で村山さんが、こんな話をされていました。

「私がマウンドに立ったときには、長嶋さんに四球を与えたことがなかった」というのです。うっかり聞いていると、なんでもない言葉に聞こえますが、私はその言葉に、たいへん感銘を受けました。

村山投手は、長嶋選手というホームラン・バッターを迎えても決して逃げずに、真っ向から勝負を挑(いど)んだわけです。四球やデッド・ボールがまったくなかったということは、つまり、いつもストライク・ゾーンで勝負したということでしょう。

なんと気持ちのいい言葉ではないですか。気迫を感じる男の科白というのでしょうか。その真剣勝負が、観客を魅了するわけです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 160~161頁より
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