今日のことば
3/20 金曜日
熟成を待つ
法華経は、それぞれの違いを認めながらも、すべてを生かす融和の教えであり、また一方、「一人といえども、われゆかん」という使命感に立つ教えです。その相反する二つを両立させるのが、永遠の時の流れの中で仏の本願の成就をめざす思想だと聞かせていただいたことがあります。
あせっては、事は成就しないのです。正義をせっかちに実現しようとすると、それに反するものが許せなくなるのですね。そこに時間が加わると、正義を貫きながら、すべてを生かしていくことが可能になるのです。
身近な例でいえば、味噌(みそ)をつくるのには、大豆をよく蒸(む)して搗(つ)き砕き、塩を加え、麹(こうじ)と混ぜ合わせて、じっくりと発酵させます。すると、よくなれて絶妙な味わいの味噌が出来上がります。時間をかけることで、異種のものが溶け合い、醸成(じょうせい)されていくわけです。
人間の社会も、さまざまな個性の人が溶け合って一つにならなくては、発展性がありません。時間をかけて熟成を待つ、その心の広さ、大きさが平和をつくりだす決め手であり、それが法華経の心だといえましょう。
庭野日敬著『開祖随感』第8巻 72~73頁より