今日のことば

10/28 火曜日

啐硺(そったく)同時

ボクシングの世界ジュニア・フライ級チャンピオン具志堅用高(ぐしけんようこう)選手が、「人びとの応援は私を励ましてくれるが、その人たちがリングに上がって手を貸してくれるわけではない。結局は私自身が努力して力をつける以外に道はない」と語っています。

これは、スポーツだけにかぎりません。たとえば子育てでも同じです。親は、子どものためならどんなことでもしてあげたいと思います。しかし、生きていくのは子ども自身です。子ども自身が力をつけなくては、いかに親であろうと手を貸してあげられなくなるときがくるのです。子どもの人生を親が代わって歩いてあげるわけにはいきません。

子どものためなら、なんでもしてやりたいという親心が、子どもが自分の力をつける妨げになりかねないのです。

鳥のヒナが卵の殻を割って出てこようとするそのとき、同時に親鳥が外側から卵の殻をつつく、その阿吽(あうん)の呼吸の妙(みょう)を「啐硺同時」と言います。信仰でも同じで、導く人と導かれる人との慈悲と信頼が機を同じくして響き合ってこそ、その人の最高の力が引きだされるのです。

庭野日敬著『開祖随感』第5巻 62~63頁より
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