今日のことば

11/19 水曜日

真に富める者

最近では、お金があるとか物があるといった表面的なことで、人の幸不幸を決める傾向が顕著のようです。いわゆる物質中心主義のせいかもしれません。

スウェーデンの諺(ことわざ)に「貧乏人とは多くを持たない者ではない。多くを欲する者のことである」とあります。老子(ろうし)もまた「足るを知る者は富む」といわれていますが、確かに最近は、あれもこれもと欲ばり、心のほうは少しも豊かでない人が増えているように思います。財があっても、その本当の活用の仕方、利他行(りたぎょう)を知らないのであっては、その人は真の富者とは言えないわけです。

また、これとは反対に、たとえささやかな暮らしではあっても、他の人の幸福について考えられる心のゆとりというか幅を持っていれば、その人こそ富者であると言うことができましょう。そして、これは個々の人間にだけ通用するものではないはずです。

いくら経済大国だといばっていても、自分の国のことだけで世界のことをまったく考えない国柄であっては、これもやはり真の先進国とは言えないわけです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 96~97頁より
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