今日のことば

6/16 火曜日

蓮如(れんにょ)上人の大好物

浄土真宗中興(ちゅうこう)の祖といわれる蓮如上人は、目の前で苦しんでいる人びとを、すべて救いとろうとされた方でした。

民衆の生活にじかに触れるため、どんなところへも足を運ばれる蓮如上人が、各地の門徒(もんと)を訪ねる旅の途次(とじ)、田舎の貧しい老夫婦の家に一夜の宿を求めたことがありました。

蓮如上人の突然の来訪に、老夫婦は食事は何を差し上げたらいいかと、おろおろします。その様子を見て上人は、「そなたらは、いつも何を食べているのかな」と尋ね、老夫婦が「私どもはヒエを食べておりますが……」と恐る恐る申し上げると、「私もそのヒエが大好物だ」と言って、老夫婦と一緒にヒエがゆをすすりながら法談をして一夜を過ごされたと伝えられています。

たとえば病気の子どもに苦い薬を与えるときには、飲みやすいように砂糖をまぶしてあげます。それと同じで、人の苦しみをなんとしても除いてあげたいと真剣になると、その人のところまで下りていって、相手が心から納得できるように、かみくだいて説いてあげる工夫をせずにいられません。それが方便です。方便は慈悲心から生まれるのです。

庭野日敬著『開祖随感』第11巻 50~51頁より
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