今日のことば

7/1 火曜日

人づくりの要(かなめ)

国の経営も、企業の経営も、どんどん厳しさが加わってきて、そのためか、上杉鷹山(うえすぎようざん)公の話がテレビや雑誌でしばしば取り上げられるようになりました。

鷹山公は、破綻(はたん)寸前の米沢藩を見事に立ち直らせた殿さまです。先日も、その鷹山公の生(お)い立ちから藩立て直しの苦難の道をテレビが伝えていましたが、鷹山公の藩再建の要は人づくりにあったことが、よく分かります。

鷹山公は「冷えた灰の中にも探せば火種がある。やる気のある者は自分の胸に火をつけよ。それを人に移せ」と説いて、人びとに目標と働き甲斐(がい)を植えつけていったのでした。人は前途に見通しを持ち、自分のなすべきことを知ると、どんな苦難にも耐え、それを乗り越える力を奮(ふる)い起こします。

私の小学校時代、校長先生が「なせばなる、なさねばならぬなにごとも、ならぬは人のなさぬなりけり」という格言を大きな字で書いて教室の柱に貼(は)ってくれ、それをみんなで何度も何度も暗誦(あんしょう)して覚えたものでした。のちに上京して、行商でヘトヘトになったときも私はそれを口ずさんで自分を励ましたものでしたが、それが鷹山公が詠(よ)まれた歌だったのです。

庭野日敬著『開祖随感』第11巻 138~139頁より
TOPへ戻る