本会の考え
すべてのいのちを守るために「安全保障関連法案」への重大な危惧
絶対非戦の誓い
日本人は先の大戦により、戦争にはいかなる勝者もなく、すべての人が傷つくということを多大な犠牲を払って学びました。そして深い反省とともに絶対非戦の誓いを立てたのです。いかに世代が変わろうとも、あの重い教訓を決して忘れてはなりません。
非戦の願いは政治家であろうと、宗教者であろうと、すべての人の共通の願いであると信じます。そして、今回の「安全保障関連法案」の目的が、日本そして国際社会の平和と安全を守るためであるという主張があることも承知しております。しかしそのために、隣国を脅威とみなし、武力による抑止力を訓提とした選択をして良いものでしょうか。
真の安全保障
多くの宗教が「不殺生」「非暴力」という精神を大切な価値としています。なぜなら、人間が根源的な暴力性と思いやりの両面を有する弱い存在であることを知っているからです。人類は、他者への無知からくる恐れと、そこから生まれる不信により、これまでも分断、暴力へと発展する歴史を繰り返してきました。それを思う時、私たちには、たとえ一歩でも力を行使する方向に道を開くことが正しい選択であるとは思えません。
この七十年間、平和的貢献によって信頼を築き上げてきた日本には「力の文化」ではなく、智慧と慈悲を根底とした「いのちの文化」を発信する重要な役割があります。対話と協力を通して世界に貢献する努力を続ける。それこそが相互信頼にもとづく真の安全保障であると信じます。
共に生きるすべてのいのちを守るために
私のいのちは、私以外のすべてのものに支えられて存在しています。いのちは数ではありません。私たち一人ひとりのいのちは、例外なく無差別的かつ絶対的な尊厳を有しており、隣国にも私たちのいのちとつながるいのちが、それぞれかけがえのない人生を生きています。そしてどの国でも、親は子どもを暴力の被害者にも加害者にもしたくはないのです。
平和は平和な心からしか生まれません。私たちは平和を人任せにせず、共に生きるすべてのいのちを守るために、これまで以上に人と人、諸宗教・諸文化間の対話と協力に基づく平和創造を推進することを強く決意するとともに、重大な危険をはらむ「安全保障関連法案」の廃案を求めます。
平成27年8月22日
立正佼成会