本会の考え
入管法改正案の取り下げを受けて
5月18日、政府・与党は出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案の成立を断念する方針を固め、今後の対応を改めて検討するとの見解を示しました。本会は今回の改正案の取り下げを歓迎します。難民の保護を義務づけた国連難民条約の精神に沿って、今後一層、難民の保護や救済が進むことを切に願います。
1970年代、ベトナム戦争による「ボートピープル」が国際問題となったとき、本会は2つの拠点で難民の方々の受け入れを行いました。その人数は18年間で476人に上ります。その後も私たちは、「一食を捧げる運動」※1 や「親子で取り組むゆめポッケ」※2 を実践し、諸団体と難民支援に努めて参りました。すべてのいのちは尊く、国や人種、宗教の違いを超えて支え合い、共生していくことが平和への道だと考えるからです。
日本は1981年に難民条約に加入しましたが、難民の受け入れは極めて少数で、難民認定率も非常に低い水準にあります。※3 このような状況に対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連の人権関係機関から懸念が表明されてきました。
入管収容施設での滞在が長期化していることに加え、施設での待遇もいのちを脅かすものとなっています。本年3月には、スリランカ人の女性が、体調不良にも関わらず適切な手当てを受けられずに亡くなりました。私たちは、国籍や在留資格を問わずすべてのいのちが保護されるよう、さらに議論が行われることを望みます。
私たちは、難民・避難民の人々が抱える、悲しみ・憤り・不安・孤独に眼差しを注ぎ続けます。すべてのいのちが尊ばれる世界の実現を切に願い、一人ひとりが自らの心を耕しつつ実践を続けて参ります。
2021年6月1日
立正佼成会