政治への取り組み

政治が国民の幸福を左右する大きな力を持つ限り、政治をよくするための努力をしなければ平和な世の中を築くことはできません。宗教者と言えども決して政治に無関心であってはならないのです。立正佼成会では宗教団体としての立場を踏まえながら、積極的に政治の問題に取り組んでいます。その目的は「信教の自由」と「生命の尊厳」を守り、「世界の平和」を実現していくことにあります。そのために私たちは政治の道を歩む人々に仏教の精神をひろめています。

政治への取り組み

1.基本理念

宗教には、人びとの心を安らかにし、幸せへ導くという大きな使命があります。本会は創立の精神である「現実に人を救い、世を立て直す」ことを目的とし、真の仏教精神をひろめることを通して、すべての人びとの幸せと平和社会の実現をめざしてまいりました。

第二次大戦後、わが国は平和憲法のもと、急速な経済成長を遂げました。その過程では、国民一人ひとりの努力とともに、政治も大きな役割を果たし、現在日本は、世界的にも有数の経済大国となっています。
しかし最近は、経済成長にも陰りが見え、それに伴う中高年層の自殺や青少年による凶悪犯罪も増加しています。家庭内での悲惨な事件なども相次いでいます。国民も政治家も、物質的な豊かさを最優先させ、精神的な豊かさや家族の絆を後回しにしてきた結果といえるかもしれません。

仏教には、「『存在するすべてのものは、変化しつつ、関係し合っている』という真理を認識し、それを生かすことに徹すれば、自ずと調和のある世界が生ずる」という教えがあります。
また、宮沢賢治は、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」との言葉を残しています。

これらの教えが示すように、宗教と政治は、「人々を幸せにする」「調和の世界をつくる」という点で共通の目的を持っています。
私たち宗教者は、よりよい社会をつくるため、各地域でさまざまな平和・社会活動を進めてきました。しかし、何より重要なのは、自分の幸せだけではなく、他の人びとの幸せ、社会の救済を願うという「利他の精神」をひろめることにあります。

一方、政治に携わる人は、社会の諸課題に道筋をつけ、国民生活を安定させるという、より具体的で現実的な役割を担っています。政治は、身近な生活に直接影響を及ぼす力を持っており、政治の動向や具体的な政策によって、私たち国民の行方が決まってしまうといえます。

その意味で、私たち国民は、政治に無関心でいることはできません。実際の政治は、「私たちが選んだ代表」を通して行われます。わが国がよりよい方向へ進むか否かは、国民一人ひとりの考え方、選択にかかっているといっても過言ではありません。この国の主人公であるとの自覚と責任をもって政治に参画することが、国民による「政治への取り組み」の大前提です。

本会はこれまで、宗教団体の立場から、政教分離の原則を厳守し、平和や生命(いのち)の尊厳といった課題に対して、取り組みを続けてきました。今後も、国民の一人として、各界の方々と手を携えながら、人と人、人と自然との間に調和が保たれ、すべてのものの生命(いのち)が尊重される社会の実現をめざし、全力を尽くしてまいります。

倫理観や道徳心が失われつつあるといわれる現在、宗教心に根ざした精神国家、文化国家の樹立と、世界の発展に貢献できる技術国家の確立こそ、日本のみならず、世界の平和を実現させる道であると信じます。

2.基本姿勢「五項目」

本会は、以下の「五項目」を政治課題として掲げ、政府及び本会と関わる政治家にその実行を強く求めるとともに、自らもその実現に努力します。

1.生命(いのち)の尊厳を守る

○すべての生命(いのち)を尊重し、思いやりと慈しみの心を育てる教育環境をつくる
○宗教的情操心を養うことを大切にするとともに、自らの心を耕し、生活の中心となる家庭をととのえる
○人為的な操作により、生命(いのち)の尊厳が損なわれるような医療行為に反対する

2.平和主義の推進

○憲法の平和精神を堅守し、平和主義を第一とする
○非武装・非暴力を目標に、軍縮の推進を訴える
○非軍事分野の国際貢献を積極的に推進する

3.思想・良心・信教の自由を守る

○人々の平和と繁栄の礎である思想・良心・信教の自由を守る
※本会は、これらの自由を侵さず、また侵されないよう全力を尽くす

4.政教分離の原則を守る

○靖国神社国家護持・公式参拝に反対する
○直接、間接に関わらず、特定の宗教団体による政治上の権力の行使を認めない
※本会は、政党をつくらず、特定の政党・政治家を固定的に支持せず、また教団役職者を役職者のまま政治家にすることはしない

5.政治倫理の確立

○政治腐敗をなくし、政治家自身に倫理観の確立を求める
○宗教心をもった人格者たる政治家に、よりよい政治運営を期待する
※「国民は政治の主権者」としての自覚を持ち、政治倫理の確立に努める

3.活動

(1)政治参加に向けた会員の意識高揚をはかる

政治をよりよくしていくためには、政治家を選ぶわれわれ国民自身の意識が大切です。会員が法華経を深く学びつつ、“国民が主権者”との自覚と関心を高め、政治の大切さを深く理解することができるような啓発に努めます。

(2)投票率の向上への積極的な働きかけ

選挙権は、政治に直接参加できる貴重な権利であり、国民には、これを行使しなければならない重要な責任が課せられています。民意を正しく反映させるためには、投票率を上げることが不可欠です。よって本会は、会員のみならず広く一般にも、選挙権の行使を呼びかけます。

(3)正しい世論づくりに努める

政治が誤った方向に進むことがないよう、政治の動向をよく見定め、正しい世論づくりに努めます。

(4)よりよい人材を支援する

本会の基本姿勢「五項目」を正しく理解し、実践する代表者を選び、支援をするため、選挙への取り組みを積極的に行っていきます。推薦候補者は、それぞれの選挙に応じて組織される推薦委員会が決定します。推薦する候補者の選定は、人物を重視し、宗教への理解、基本姿勢「五項目」への正しい理解とその実績等を考慮して判断します。

(5)政治家に仏教精神を伝える

政治家に、仏教精神を持って政治に取り組んでいただくため、日常の交流を通して政治家が自らの心を耕すことができる縁となれるよう努力します。

(6)立法・行政への申し入れ

国民生活の基盤が(おびや)かされるような立法や行政に対しては、宗教教団に相応しいあり方で対応し、行動します。本部が申し入れ(意見書等の提出)を行うとともに、教区・教会では、本部の申し入れに準じ、必要に応じて、地方の立法機関や行政機関に申し入れを行います。

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