米国・ニューヨーク、ワシントンで起きた同時多発テロ事件に対し、立正佼成会の庭野日鑛会長は9月15日、犠牲者に哀悼の誠を捧げる緊急談話を発表しました。その中で庭野会長は、テロ行為を『人のいのちの尊厳をあまりにも安易に踏みにじるもの』とする一方、『暴力に暴力で対抗していくことは、新たな暴力、永遠に続く暴力を生み出してしまう。新しい世紀を迎えた今こそ、「報復」や「復讐」を超えた、宗教的な智慧ある対応を模索していくことが求められる』と強調しています。
米国での同時多発テロ事件」に対する談話
11日、米国・ニューヨークの世界貿易センターおよびワシントンの国防総省で同時多発テロ事件が起こりました。この事態に対し翌12日、WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会は、ハッサン・ビン・タラール議長はじめ国際役員による『世界の諸宗教指導者は合衆国に対するテロ攻撃を非難し、信仰を持つすべての人々の相互理解を求める』と題した緊急アピールを発表しました。その趣旨に私も全面的に賛同するものであります。
今回のテロ行為は、数千に及ぼうとする死者・行方不明者を出す大惨事となりました。報道によって映し出される事件現場の様子を目の当たりにし、言葉にならないほどの大きな衝撃を受けております。犠牲となられた方々に深い哀悼の誠を捧げさせて頂くと共に、ご遺族並びに関係する方々に衷心からお悔やみを申し上げる次第であります。また、行方の分からない方々の安否が一刻も早く確認されますよう、心からお祈り申し上げます。
航空機による自爆テロは、人のいのちの尊厳をあまりにも安易に踏みにじるものであり、どのような理由があるにせよ、決して許されるべきものではありません。一般市民の方々がこれほどまでに多数犠牲となったことは、米国民のみならず世界の人々に強い憤りを抱かせております。
しかしながら、あえて申し上げなければならないと思いますことは、感情に走り、暴力に暴力で対抗していくことは、過去の歴史が示すように、新たな暴力、永遠に続く暴力を生み出してしまうということであります。釈尊は法句経の中で、『怨みにむくゆるに怨みをもってすれば、その怨みはいつまでも続き、消ゆることはない』と申されています。難しいことではありますが、新しい世紀を迎えた今こそ、「報復」や「復讐」を超えた、宗教的な智慧ある対応を模索していくことが求められると思うのであります。
20世紀は、「戦争の世紀」「争いの世紀」と形容されました。21世紀を迎え、あらためて人類は、「共生の世紀」「愛と慈悲の世紀」を築き上げていく誓いを新たにしました。立正佼成会もWCRPを中心として、世界の諸宗教との対話・協力をもとにして、平和世界の実現を目指し、精進してまいりました。今回のテロ事件は、こうした諸宗教対話・協力の歩みが、本当の意味で十分であったのかを、われわれに厳しく問いかけるものでもあったと受けとめております。
立正佼成会としましては、犠牲となった方々の無念の思いを無駄にすることなく、未来に生かしていくためにも、今後、さらに諸宗教間の対話・協力を密にし、国や宗教、民族、文化の相違を超え、「共生の世界」を築き上げていけるよう全力を傾けてまいりたいと存じます。そして、心身共に深い傷を受けた米国民の方々と悲しみを分かち合い、一刻も早く当地に平穏が訪れますよう、立正佼成会の信者をあげて、心からの祈りを捧げさせて頂く次第であります。
合掌
立正佼成会
会長 庭野日鑛
(2001.09.19記載)
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