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2001年10月27日 庭野平和財団と北大が共催でシンポジウム

庭野平和財団と北海道大学先端科学技術共同研究センター共催による「札幌シンポジウム」が10月27日、同大学クラーク会館で行われました。テーマは、『いま、生きる――NGOと私』。学生など150人の市民を前に、援助活動に従事するNGO(非政府機関)のリーダーらがディスカッションを展開しました。

庭野平和財団は、これまで各種シンポジウムを開催してきましたが、大学との共同開催は初めてのことです。ボランティア活動やNGOへの理解、支援の輪を広げていきたいとする同財団と、「人生に悲観的で戸惑いがちな若者が多い中、個性的な生き方をしている人に触れることで、学生に新しい示唆を提供したい」(鈴木延夫・北大同センター助教授)とする北大の意向が一致し、実現しました。
当日は、コーディネーターにシャンティ国際ボランティア会の手束耕治事務局長、パネリストに木山啓子・JEN(日本緊急援助NGOグループ)事務局長、高橋一馬・緑のサヘル代表理事、津田彩樹子・ハンガー・フリー・ワールド事務局長代理、鈴木助教授の4人が出席しました。
ディスカッションでは、パネリストがそれぞれの活動を紹介。続いて、ボランティア活動に従事することになった動機ややりがいについての意見発表へと続きました。
旧ユーゴスラビアで難民支援にあたってきた木山さんは、「特別な動機があったわけではありません。『難民はどうして生まれるのか』。そういった素朴な疑問にこだわり続け、その都度、懸命に生きてきたら、今の位置にいたという感じです」と心境を吐露。また津田さんは、活動のやりがいについて、子どもの権利向上や飢餓撲滅への自身の取り組みを紹介した上で、「仲間との信頼関係が大きい。途上国の人々と確かな絆を築けた」点をあげました。アフリカで砂漠化防止と地域住民の食料自給確保を目指してきた高橋さんは、「住民に農業指導を行っています。住民の生活を左右する分、責任の重さを感じますが、収量があがり、住民の食料生産力があがれば、単純にうれしい」と発表。チャドで餓死者を出さずに済んだ喜びを報告しました。
こうした意見を受け、鈴木助教授は、「パネリストのみなさんは日本と正反対の厳しい中で活動されています。そこでは、真の豊かさについて多く考えさせられることでしょう。そのことを通して、『自分』を発見し、確かなアイデンティティーを見い出されていると思います」と語りました。
このあと、会場からの質問を受けて、NGOの運営や活動の評価などに対する意見が交わされました。さらに、「若者への期待」についても各パネリストが言及。「いろいろ考えすぎず、自分の気持ちに正直に生きてみる」(高橋氏)、「世界の状況にもっと目を向けて」(木山氏)といった自身の殻に閉じこもらず、「行動」の大切さを訴える意見が多く出されました。

(2001.11.01記載)