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2002年03月01日 立正佼成会一食平和基金平成13年次運用報告

「立正佼成会一食平和基金」の昨年次(平成13年次)運用報告が、このほど同基金運営委員会(委員長・松原通雄外務部長)から発表されました。昨年1年間の支援総額は5億201万2930円。1.合同プロジェクト 2.自主プロジェクト 3.資金助成――を柱に、世界37の国および地域、80のプロジェクトに充てられました。

昨年次、「立正佼成会一食平和基金」が、会員からの浄財をもとに実施した支援のうち、本会が他団体と協力して活動を行う「合同プロジェクト」には1億5013万1520円が支出されました。「アフリカへ毛布をおくる運動」をはじめ、「エチオピア植林プロジェクト」など6件に、全体の30パーセントが充てられました。
また、「ゆめポッケ・キッズキャンペーン」や「会員ボランティア派遣」など、本会が独自に企画・立案し、実施する「自主プロジェクト」には約7500万円が支出されました。
一方、外部団体のプロジェクトを支援する「資金助成」への支出は、9247万1878円。1.一般助成 2.庭野平和財団助成 3.宗教協力助成 4.特別助成 5.国連支援助成 6.「災害等緊急支援」に分類されており65のプロジェクトに充てられました。
「一般助成」の対象団体は年4回の運営会議で審議。
 1.広く市民に開かれており、活動が多くの人に支えられ、継続的に展開されている
 2.社会問題や世界平和に積極的な関心を持っている
 3.他団体とのつながりを重視し、積極的にネットワークづくりに努力している
 4.将来的に自立を目指している
などの基準に合った団体およびプロジェクトに支援されました。

「災害等緊急支援」では、米国同時多発テロ事件以降のアフガニスタン難民に対する支援が目立ちました。WFP(世界食糧計画)に100万円、WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会主催による「世界の諸宗教指導者による国際シンポジウム」の開催費用に2593万5000円が支出されました。
「立正佼成会一食平和基金」は、本会会員による「一食を捧げる運動」の浄財によって運営されています。同運動の精神について、庭野日敬・立正佼成会開祖はかつて次のように語っています。
『平和は、ただ論じているだけでは実現しません。平和を実現させるのには、どんな小さなことでもいい、お互いが一つに溶け合うための行動を起こさなければなりません。それぞれが、自分の生活の場で、それぞれの仕事を通してできる平和活動が大切です』
いつでも、どこでも、だれにでもできる「一食運動」は、昨年次から毎月1日、15日の「布薩の日」を基本として実施されています。また、市民に参加を呼びかける場合や青・壮年部員が職場や学校などで行う際は、毎週金曜日(昼食)を実践日として設定。「スペシャルフライデー」の名称のもと、徐々に定着しつつあります。昨年3月には青梅練成道場で初の「一食推進全国集会」を開催。全国教会の会員が集まり、一食運動の精神をかみしめました。今年も3月9、10日に同道場で実施される予定です。
「一食運動」では、本会会員が一食を抜いて献金した浄財が「立正佼成会一食平和基金」へ、市民から寄せられた浄財は「一食ユニセフ募金」として日本ユニセフ協会に寄託され、環境、開発、紛争予防、災害など、世界の諸問題解決に向けた活動に充てられています。


一食平和基金支援先団体からのメッセージ

シェア=国際保険協力市民の会
西山美希・タイ事業担当

タイには、推定で約70万人のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者がいます。また、エイズで両親を亡くし、孤児となった子供は約7万5000人いると言われ、エイズ問題が深刻化しています。
シェアでは1994年以来、タイ東北部に事務所を置き、感染者への支援を行う一方で、村人たちにエイズに関する正しい知識を伝え、感染の拡大防止と感染者への差別や偏見をなくすための活動を展開しています。
現地の病院と協力し、HIV感染者とその家族を対象にカウンセリングや仲間づくりのためのミーティングを開き、家庭でできる看護方法や衛生面での指導を行っています。また、村人とともに感染者宅への家庭訪問を行うことで、「支え合い」の気持ちを育んでいます。感染者自身が、自分の体験を地域の学校で子供たちに話すこともあります。
シェアはプロジェクトを通し、差別や偏見のない世界の実現を目指しています。

難民支援協会
鈴木律文・副代表

難民支援協会は3年前、日本国内で生活する難民・難民申請者の支援を目的に設立されました。当初は難民申請者への法的支援を中心に、宿泊施設や食料の確保、生活面での相談活動などを行ってきました。
ここ数年で申請者数は急増し、昨年は300人を超える人々が手続きを行っています。しかし、日本語や英語が読み書きできないため、申請がうまくできずに不認定となってしまうケースが多いのも事実です。近年は、アフリカ、ミャンマー、アフガニスタンから日本に難民として保護を求めてくる人々が増えています。私たちはできるだけ多様な言語に対応し、難民申請への法的手続きをはじめ就職や日本語教育、保険や医療サービスの情報提供などが実現できるよう努めています。
当協会設立の願いは、さまざまな事情で日本に保護を求めて来た人々が、国内で自立して生活できるようになることです。母国からの迫害や生命の危機に脅かされないよう支援しながら、行政や地域社会との橋渡しになることが私たちの大切な使命だと感じています。
皆さまからのあたたかいご支援のお陰さまで、当協会の活動もようやく軌道に乗り始めました。本当にありがとうございます。

ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト
吉田敏夫・副事務局長

激しい部族抗争が続いたルワンダでは、全人口800万人の一割にあたる80万人が障害を負いました。地雷はもちろん、ナタやオノで手足を切断され、十分な手当てがされないまま、今もなお不自由な生活を強いられています。
私たちの団体は、ルワンダのキガリを拠点とし、障害を負った人々に、その人にあった義手、義足を提供することで自立を支援しています。吉田真美代表が日本で学んだ義肢製作の技術を現地の人に指導し、これまでに400本を製作しました。手足がないため、日常生活を送ることが困難だった人、仕事に就けなかった人々が、再び「手足」を取り戻すことで、生きる意欲を見出しています。
2年前のシドニー・パラリンピックの際、私たちの団体が支援した元兵士の男性が、義足を装着し、水泳選手として参加しました。結果は最下位でしたが、彼にとっては世界の人たちと一緒に同じ舞台に立てた喜びの方が大きかったと思います。
内戦で心と体に深い傷を負ったルワンダの人たちが、皆さんの支援によって笑顔を取り戻しています。それは必ずや国の復興につながると信じています。

(2002.03.01記載)