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2002年05月02日 ハッサンWCRP国際実務議長メッセージ『中東における平和』

WCRP(世界宗教者平和会議)国際実務議長のエル・ハッサン・ビン・タラール・ヨルダン王国王子は、「生誕教会の包囲戦の平和的解決」ならびにすべての聖地の保護を求める声明を発表しました。イスラームの預言者ムハンマドの末裔であるハッサン王子は、この中で、ユダヤ教、キリスト教、イスラームという三つの一神教の団結を訴えています。

中東における平和

世界宗教者平和会議実務議長
ヨルダン王国王子
エル・ハッサン・ビン・タラール

三大一神教揺籃の聖地であるエルサレムは、罪も無く死んでいった人々の血に染まっている。恐怖、痛み、無理矢理に住む場所から追いたてられた人々の苦悶、そして広範囲に及ぶ破壊が、生きている人々に重くのしかかっている。信仰の父アブラハムの子であるユダヤ教徒、キリスト教徒、そしてムスリムは、かつてない暴力行為に巻き込まれている。平和の聖域であるべき聖地は争いの真っ只中にある。イエス生誕の地である生誕教会は、武力による膠着状態の舞台となっている。

なぜこのようなことが起きているのか?
モーゼに与えられた十戒はどこにいってしまったのか?
イエスの「汝の敵を愛せよ」との教えはどこに消えてしまったのか?
クルアーンが説く罪無き人々の殺戮の禁止と、聖戦は信仰と共同体を守る時しかゆるされないというイスラームの教えは、一体どこへ行ってしまったのか?

これらの三大宗教はみな、正義をともなう平和を希求し、自衛に関しては慎重な規定を定め、いかなる理由においても無実の血が流れることを容認してはいないというのに。
WCRP(世界宗教者平和会議)の実務議長として同会議を代表し、またひとりの敬虔なムスリムとして、私は、聖誕教会の包囲戦の平和的解決、ならびにこれまで長きにわたり聖地に与えられてきた保護をここに求める。
WCRPに属する諸宗教指導者は、テロリズム、つまり、個人であろうと国家であろうと罪の無い人々を故意に殺戮する行為を拒絶することで一致している。また、イスラエル、パレスチナ双方の人々が、隣り合う国で平和と安全のもとに生活する権利を有するという信念においても一致している。
よってここに、WCRPの諸宗教指導者を代表し、彼らと心を一つにして、私は以下のことを呼びかける。

第1に、イスラエルとパレスチナの指導者に対し、即時に次のことを求める。
a パレスチナ自治政府の管理下にあるすべての地域からイスラエル軍を撤退させる。
b あらゆるテロリズムを拒否し、非難し、法的に許される手段を講じる。
c 正式な停戦を達成する。
d 人権と、両者間で締結された合意に基づく責務を尊重する。
e 公正で持続可能な平和の確立を目的とした政治交渉を開始するため、協力して取り組む。

第2に、アラブ連盟加盟諸国に対し、包括的平和の実現に向け、讃えられるべき現在の努力が継続されることを求める。

第3に、国連に対し、権限の発動や所属機関の活動を通じて、平和醸成のためにただちに必要な対策を実施することを求める。

第4に、世界のすべての国々に対し、平和の構築に尽力し、さらなる紛争の悪化をもたらすような行動を取らないよう求める。

第5に、米国に対し、平和構築に向けて国家の能力に相応した役割を積極的に展開することを求める。

第6に、国際社会に対して、戦争による被害からの復興とパレスチナ自治地域の開発への財政的、技術的支援を拡大するため、協力してこれにあたることを求める。

そして第7に、世界中の信仰を持つ人々、とりわけ聖地のユダヤ教徒、キリスト教徒、ムスリムに対して、平和の地がまさしく平和であるために団結することを求める。

2002年5月2日

(2002.06.05記載)