「子どもとエイズに関するアフリカ諸宗教指導者会議」が、6月9日から12日までケニアのナイロビで開催され、アフリカ26カ国から諸宗教代表者、エイズ問題専門家など約120人が参加しました。WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会をはじめ5団体で構成する「HopeforAfricanChildrenInitiative」(HACI)の主催によるものです。歴史上初めてアフリカ全土から諸宗教者が一堂に会しました。会議では、両親をエイズで失ったエイズ孤児などを救済するための具体的な方策が示されました。アフリカ諸宗教者による初の合同プロジェクトに現地の人々も注目しています。また、同計画の実施機関として近々発足するWCRPアフリカ地域委員会も、アフリカ初の本格的な宗教協力組織として今後の幅広い活動が期待されています。
現在、全世界のHIV感染者・エイズ患者の約7割がアフリカに集中しており、アフリカのエイズ孤児は1400万人にものぼります。両親をエイズで失った子供たちは差別や偏見の対象となり、劣悪な生活状況の中で搾取や虐待を受けています。
今回の会議は、WCRP国際委員会をはじめ、「セイブ・ザ・チルドレン」「ケア・インターナショナル」「プラン・インターナショナル」「SWAA」の各NGO団体が協力して参加を呼びかけたものです。
会議では、ステファン・ルイス・国連事務総長エイズ問題特別顧問、ウィリアム・ベンドレイWCRP国際委員会事務総長らのあいさつに続き、キャロル・ベラミー・ユニセフ事務局長が基調講演を行いました。
作業部会では、エイズ問題の現状やエイズ孤児たちに対する差別・搾取の実態が明らかにされ、今後の取り組みについて討議されました。この中で、本来差別をなくすべき宗教者が「エイズは神の罰」といった一部の宗教的な思想のもと、結果的にエイズ患者への差別や偏見を助長してきた側面が指摘されました。宗教者としてこうした事実を深く反省し、今後積極的にエイズ問題に取り組む姿勢が確認されました。
最終日には、エイズ孤児への差別・偏見の解消を目指した宣言文と行動計画が発表されました。行動計画には、各宗教が持つ教会、モスク、寺院や病院、メディア、コミュニティーといった諸機能を駆使して、エイズの予防教育やエイズ孤児への物的・精神的ケアを進めることが盛り込まれました。アフリカ各地に社会基盤を整備するのは宗教団体だけであり、宗教者の取り組みに期待が寄せられました。
また、宗教代表者からエイズ孤児やエイズに苦しむ子供たちに励ましの手紙(内容別掲)が手渡されました。この手紙は、各宗教の教会などを通して、関係する子供たちに届けられます。
WCRPに対するアフリカ諸宗教者の評価は高く、行動計画の執行機関として、今回参加した宗教者を中心にWCRPアフリカ地域委員会が発足することになりました。さらに、これまでに組織されていたWCRP国内委員会に加え、今回、新たにウガンダ委員会が発足しました。今後、各国委員会設立の広がりが期待されています。
アフリカ委員会では今後、エイズ孤児の専門家委員会を設立して活動にあたるほか、アフリカ各国政府やNGO団体にも協力を呼びかけていく予定です。
(2002.07.10記載)
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