庭野平和財団(庭野日鑛総裁、庭野欽司郎理事長)とアーユス仏教国際協力ネットワーク、シャンティ国際ボランティア会(SVA)などが中心となり進めてきた「仏教NGOネットワーク」(代表=松永然道・SVA会長)の設立総会が1月22日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で行われ、国際協力に携わる40団体から50人の仏教者、NGO(非政府機関)関係者らが参加しました。同財団からは庭野欽司郎理事長が出席。本会から松原通雄外務部長が参加しました。
インドシナ難民やアフリカの飢餓への救援活動などを機に1980年代から日本のNGO活動は活発化しました。現在、国際協力NGOセンター(JANIC)によると、約300団体が海外協力に従事。その中で、伝統仏教系、新宗教を問わず仏教を基本理念としたさまざまなNGOが地道な活動を展開しています。個別で活動している寺院も含めれば、仏教NGOは多数存在します。
しかし、仏教NGO間では、相互理解や協力のための情報交換がなされていないのが現状です。また、仏教の社会的役割が厳しく問われている現代、仏教者自身の自覚を促すと共に、一般社会の問題や地球規模の課題により深く関わっていくことが求められています。こうした状況を踏まえ、庭野平和財団、アーユス仏教国際協力ネットワーク、SVA、本会一食平和基金、ありがとう基金(妙智會教団)5団体を中心に2年前、仏教NGO間の相互理解と交流を促進しようと「仏教者NGOネットワーク」の設立が創案されました。その後、会議を重ね、昨年からは、仏教界に広く参加や協力を働きかけてきました。
昨年7月6日、『仏教・NGO・市民社会――現代における慈悲の社会化』をテーマに都内港区の浄土宗大本山・増上寺で設立に向けた公開シンポジウムを開催。同11月7日には、東京・新宿の日蓮宗常円寺で「呼びかけ人会」を実施しました。伝統仏教、新宗教の仏教教団の代表者、NGO関係者らが参加しました。
設立総会では、まず小林正道・全日本仏教会事務局長があいさつ。次いで、松永代表を議長に、組織や規約などについての説明と質疑応答が行われました。
その中で、「仏教を基盤に国際協力を推進するNGOの存在と取り組みを広く社会にアピールするとともに、相互の交流・研鑚をすすめる」とする同ネットワークの目的を全員で確認。参加者からは、交流や研鑚を深めることで、海外での経験の共有や後継者育成を図ることが可能になるとの発言がありました。また、「布施するものと、されるものがまったく平等である」といった仏教精神を生かした活動が広く展開されることに期待が寄せられました。
このあと、『キリスト教系NGOの歩みとグローバル化時代の課題』をテーマに植田仁太郎・日本聖公会東京教区主教が講演しました。植田師は、世界を一つのマーケットと見なし、市場経済を最優先する今日のグローバル化の問題点を指摘。貧富の差が広がる中で、「NGOには多元性を認め合う活動が必要です。特に仏教が示す、あらゆるいのちを尊ぶ考えが欠かせないように思います。さらに、国際協力を通じて被援助国の状況が改善されると同時に、援助に携わる私たちが深く学び、自身の生活や社会が改善されるような動きに結びつけていかなければなりません」と述べました。
なお、同ネットワークでは今年、総会や公開講座、2回の研修会実施を予定しています。
(2003.01.31記載)
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