News Archive

2003年03月27日 WCRP日本委員会が「平和研究集会」開催

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会人権委員会と同平和研究所による「第29回平和のための宗教者研究集会」が3月27日、京都市北区の佛教大学常照ホールで開催され、宗教者、市民など約160人が参加しました。

集会では、友永健三・部落解放・人権研究所所長が『地対財特法後の部落解放運動の目指すもの』、宮崎繁樹・人権教育啓発推進センター理事長が『世界の人権問題の現状と未来』をテーマに、それぞれ講演しました。
友永氏は、一昨年まで33年間続いた、被差別部落の生活環境改善を目的とした「地域改善対策特定事業財政特別措置法(地対財特法)」の功罪を解説したあと、今後は特別措置ではなく、一般的な制度の中ですべての人の人権擁護を目指す「ユニバーサルデザイン」の考え方が大切になるとの見方を示しました。宮崎氏は、現在の「人権」の概念は、アメリカ第32代大統領ルーズベルトが唱えた「4つの自由(言論の自由、信仰の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由)」に由来するとしながら、この考えは個人主義、合理主義的な西洋思想に根差したものであり、本来、人権に絶対的な概念はないと説明しました。その上で、仏教の慈悲やキリスト教の愛といった教えを例示し、「『人権』には、個人の権利と同時に、すべての人が人間らしく生きる正しい姿、という意味があることも忘れてはならない」と述べました。
続いて、眞田芳憲中央大学教授(WCRP日本委平和研究所副所長)をコーディネーターに、友永氏、宮崎氏によるパネルディスカッションが行われ、「人を差別する人間は自分自身に不満があるケースが多いことから、自尊感情を育む教育も必要」などの意見が出されました。

(2003.04.04記載)