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2003年09月26日 「世界平和祈りの週間」今年の実施概要

「世界平和祈りの週間」今年の実施概要
世界の宗教者が、時を同じくして平和のために祈りを捧げる「世界平和祈りの週間」が、今年も10月19日から26日までの8日間にわたって行われます。仏教、キリスト教、イスラーム、ヒンズー教など、世界37団体による「祈りのネットワーク」に本会が参画して17年。期間中、大聖堂はじめ全国各教会、各家庭では、読経供養に合わせ、日ごとにテーマが設けられた『世界平和祈りの言葉』が読み上げられます。また、多くの教会で、地域の諸宗教者と合同の「集い」などを行い、宗教協力による祈りが捧げられます。今年の概要を紹介し、併せて先日、ドイツのアーヘンで開催された「世界宗教者平和のための祈りの集い」に出席した篠崎友伸・立正佼成会時務部長に「仏教の祈り」と「祈りの週間」の意義について聞きました。

「世界平和祈りの週間」は、1974年にベルギー・ルーベンで開かれたWCRPⅡ(第2回世界宗教者平和会議)に端を発します。大会中、参加者から「平和実現に向けての宗教者の祈りの結集」が提唱され、その願いが『祈りの週間』という形で具体化し、毎年、国連記念日(10月24日)をはさんだ8日間にわたって実施されています。本会は87年の「国際平和年」から全会員をあげて参画しています。特に2001年9月11日の「米国同時多発テロ事件」以降、本会は国際情勢を踏まえて『世界平和祈りの言葉』を作製しています。今年は、「祈りの言葉」の前に読み上げる「意義と目的」の中で、イラク戦争をはじめ、イスラエルとパレスチナの衝突、いまだ内戦が続くアフガニスタンなどで争いの犠牲となった人々の冥福を祈ると共に、世界の紛争が広がらないよう祈りを捧げることの大切さが強調されています。また、庭野会長が一貫して述べている「『和』の世界の創造」に向けて精進していくことの重要性が盛り込まれています。

【実施期間】
10月19日(日)~10月26日(日)
【実施内容】大聖堂、全国各教会、各家庭で、毎朝のご供養前に「意義と目的」を朗読し、日替わりでテーマを設けた「世界平和祈りの言葉」を読み上げる。また、「祈りの言葉」を実践する。
【参加団体】
英国国教会平和の信徒会、武器貿易反対キャンペーン、イスラームおよびキリスト教徒・ムスリム間関係研究センター、英国バハイ教全国宗教議会、ローマ・カトリック諸宗教委員会、シーク教聖信徒会、国際連合協会、世界宗教者平和会議、立正佼成会など37団体。

「世界平和祈りの週間」を前に
篠崎友伸・立正佼成会時務部長

「妙法蓮華経如来寿量品」に、次のような一節があります。 
『我常に衆生の道を行じ道を行ぜざるを知って 度すべき所に随って 為に種種の法を説く 毎に自ら是の念を作す 何を以てか衆生をして 無上道に入り 速やかに佛身を成就することを得せしめんと』

ここには、仏さまが常に「どうしたら衆生が仏性に目覚めることができるか、仏の境地に達することができるか」とお心を砕き、一切衆生の成仏を願われていることが示されています。この一節を深くかみしめてみると、私たち人間は、仏さまから「あなたは私(仏)と同じ願いを持っているのですよ」と信頼され、祈られている存在であることに気づきます。私たちがご宝前に手を合わせるとき、実は仏さまが私たちに向かって手を合わせてくださっているのです。まずこのことに気づくことが、仏教徒としての「祈り」の根本だと思います。

「仏と同じ願い」とは、会長先生が教えてくださっている「和」の世界の実現に尽きると思います。みんなと調和したい、一緒に幸せになりたい、そうした思いがすべての人の心に疼いている、と会長先生はご指導くださっています。そのことに自分自身が気づき、他の人にも同じ願いが宿っていることを認識することが大事なのです。
しかし、いま世界を見回してみると、「和」の世界とは反対の方向に向かっています。イスラエルとパレスチナとの衝突、イラク戦争......暴力による報復の連鎖を目の当りにするとき、深い無力感に包まれます。

しかし、そうした無力感をもエネルギーに変えるのが「祈り」の持つ力でもあります。
無力感をエネルギーに変える源は、「サンゲ」です。自分の心に問いかけてみてください。仏さまの存在を本当に信じているか。世界で起きている出来事をどこか他人事と受け止めていないか。自分だけが幸せであればいいと思ってはいないか。人を憎んだり恨んだりする心がないか。まだまだ至らない自分であることに気づき、反省したときから、祈りはさらに深いものになっていきます。私たちは「祈り」の中で常に内省を繰り返していくことが大事なのです。

開祖さまのご著書『この道』の中に、開祖さまが、旧西ドイツのプロテスタント指導者であるクンスト師に、宗教協力の大切さを訴えられるエピソードが紹介されています。クンスト師から「どういう資格で私たちのところへ訪ねてこられたのか」と尋ねられた開祖さまは、次のように答えます。「私は本仏の命(めい)によってここにまいりました。あなたの天にまします神は、同じことをお命じになってはおりませんか。その神のお声が、あなたにも聞えているのではありませんか」。その言葉にクンスト師は大きくうなづき、開祖さまの手を握りしめたといいます。

「世界平和祈りの週間」を機縁に、私たち一人ひとりの中に、「仏と同じ願い」「本仏の命」が疼いていることを確認しましょう。そして、他の宗教者の方々と時を同じくして共に祈りを捧げてまいりたいと存じます。

(2003.09.26記載)