本会と庭野平和財団が加盟する「仏教NGOネットワーク」(BNN)の第1回公開講座が10月4日、東京・港区の梅窓院祖師堂で行われ、宗教者、NGO(非政府機関)関係者ら40人が参加しました。テーマは『「国際協力と仏教NGO」を考える』。当日は、元国連大使の佐藤行雄氏が基調講演。続いて、佐藤氏と松永然道BNN代表=シャンティ国際ボランティア会(SVA)会長=、杉谷義純BNN相談役=世界宗教者平和会議日本委員会事務総長・天台宗円珠院住職=による鼎談が行われました。
BNNは今年1月、仏教を基本理念に国際協力活動に携わるNGO間の相互交流を促進していこうと結成されました。公開講座は年1回、国内外の仏教者、宗教者の活動を学ぶことを目的に開催されます。
佐藤氏は、外務省北米局長や国連大使を歴任後、今年、日本国際問題研究所所長に就任しました。「鎌倉大仏」で有名な浄土宗高徳院に生まれたことも知られています。
講演では、仏教徒として、また、国連の立場から国際社会における仏教NGOの果たすべき役割や期待に言及しました。
佐藤氏は「仏教は、宗教を異にする人を受け入れる寛容性、みんなで仲良く生きていこうという『共生き』の思想を持っている」とした上で、「現在、注目を集めているイスラーム世界はじめ海外では、相手の宗教や文化を尊重していく姿勢が大切です。仏教の特性を生かした活動を行っていけば、活躍の場は広がっていくと思います」と述べました。
また、今後の期待として、仏教の各宗派、教団が持つ大学などで、国際協力に必要な語学教育やNGOの実践活動に関する授業が行われることを挙げました。
続いて行われた鼎談では、佐藤氏と松永師がパネリストとして参加。杉谷師がコーディネーターを務めました。
松永師は1980年代、SVA設立のきっかけとなったタイでのカンボジア難民支援に触れ、実際の活動現場について説明。さまざまな苦労があった一方で、「支援活動では、相手から教えられることの方が多かったように思います。そうした中から、『共に学び、共に生きる』というSVAの活動方針が生まれてきました」と語りました。
これを受けて、佐藤氏は、「現在の外務省では、NGO活動は大事だという認識は非常に高い」と語り、国としてもNGOの発展に期待を寄せていることを報告しました。また、杉谷師は、「私たち仏教系のNGOは、他の団体と活動実績を競い、自己主張するようなことに重きを置くのではなく、さまざまな人や団体との"橋渡し"になるような活動をしていきたいと思います」と述べました。
(2003.10.10記載)
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