「アフリカ毛布配布ボランティア隊」の一行27人が10月26日から11月8日まで、エチオピアの最北部に位置するティグレ州メケレを訪れました。隊員たちは、2隊に分かれ、現地NGO(非政府機関)の「ティグレ救援協会」(REST)の協力を得て、毛布約1万枚を現地の人々に手渡しました。5日間の配布の様子を紹介します。
●毛布に込められた思い
「毛布が配布に間に合わないかもしれません」。配布活動前日、一行は稲毛田貴史隊長(立正佼成会鶴岡教会長)からそう告げられました。通関の手続きが遅れたことが原因でした。
初日の配布は中止。落胆する隊員のもとに、RESTを通じて連絡が入りました。「スタッフが夜間、トラックを飛ばして配布場所に向かっています」。不眠不休でハンドルを握るスタッフ。また、一行に心配をかけまいと、通信手段が乏しい中で必死に状況報告するスタッフの献身的な姿が、隊員たちの心を打ちました。
B隊の初めての配布地となったアクベ村。村人960人が待ち詫びる中、トラックは、一行より少し遅れて到着しました。毛布をおくる人だけではなく、現地で輸送に携わる人や調整を図る人、一枚の毛布にどれだけ多くの人の思いが込められているか。そのことをかみしめながら隊員たちは、毛布を村人の肩にかけました。
●もっとたくさんの毛布を
M・Rさん(男性・54歳)は、子供を抱いた母親の肩に毛布をかけました。毛布が少しでも親子の厳しい生活の支えとなることを願いました。
1980年代以降、エチオピアは恒常的な干ばつに苦しめられています。温暖化の影響か、干ばつの周期は10年から5年に狭まり、その上、雨期も1カ月以上短くなっています。現地の人々は、農作物や家畜、生きる糧のすべてを失ってしまいました。
「1枚の毛布に3人がくるまって眠ります」。RESTのスタッフがM・Rさんに言いました。〈もっとたくさん毛布を集めるから!〉。M・Rさんは、毛布を受け取る村人の笑顔に固く誓いました。
●3つの幸せ
アフリカに平和が訪れ、運動にピリオドを打つ日はいつ訪れるのでしょうか。隊員の疑問にREST副代表のヤマネ・ソロモンさんは静かに言いました。「皆さんの継続した活動は、人々に3つの幸せをもたらします。一つは、現実に身を守ること。毛布を受け取っていない人も『5年後には、自分たちも毛布がもらえる』という希望を抱けるようになりました。2つ目は、ティグレ州に毛布が配られることで、政府の支援が他の州の人々に施されること。そして3つ目は、自分たちは世界中から忘れ去られた存在ではないという誇りを持てることです。平和への道をあきらめないでください」。
干ばつと貧困に向き合い続けるヤマネさんの次の一言が隊員たちの心を貫きました。
「皆さん、私たちと一緒に闘ってください」
(2003.12.05記載)
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