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2003年10月31日 衆議院議員総選挙に向けて山野井理事長が談話を発表

衆議院の解散に伴う第43回総選挙が10月28日に公示、11月9日に投票という日程で行われます。この度、山野井克典理事長は会員に対し、本会の政治浄化活動と選挙への取り組みについての談話を発表しました。
今回の選挙では、構造改革、デフレ不況への対応、社会保障政策などの政治課題と共に、小泉政権下での外交や安全保障、政権選択と二大政党制、マニフェスト(政権公約)などが争点に挙げられます。立正佼成会は、平和活動の一つの柱として政治浄化活動を進めており、その一環として、選挙の重要性を認め、大きな関心を持って取り組んでいます。

「第43回衆議院議員総選挙に向けて」

立正佼成会理事長
山野井克典

本会は、「法華経によって人を救い、世を立て直す」という創立の精神をすべての活動の根幹に据えて平和の実現を目指しており、政治浄化活動は、それらの平和活動の柱の一つです。国民全体の幸福、世界平和を願う上で、信仰者として、政治に無関心であってはなりません。政治は大きな力を持っており、それが誤った方向に進めば、人々の平和や安寧が失われるからです。今回の選挙に際しても、私たちは政治浄化活動の基本姿勢をあらためて確認し、それに基づいて臨んでいくことが肝要であろうと思います。

本会の政治浄化活動の一貫した基本姿勢は、1.信教の自由を護る、2.政教分離の原則を守る、3.政治・選挙へ積極的に参加し、政治浄化を実現する、4.政治に対する正しい世論づくりを進める、ということに要約されます。新宗連(新日本宗教団体連合会)においても政治委員会より、1.宗教を尊重する人、2.信教の自由、政教分離の原則を堅守する人、3.平和主義を推進する人、4.政治倫理の確立、行政改革を推進する人、と各種選挙での候補者の推薦基準が示されており、本会も加盟教団の一つとして、これを十二分に尊重し、候補者選定の指針としております。

各教会ではこれらの項目に基づいて、その人物、人格、宗教への理解を重視して推薦候補者の選定が行われました。教団本部が情報提供等の助成を行い、各教会(推薦委員会)が主体的に責任をもって候補者を選定するという本会としての選挙への取り組みは、確実に定着しております。諸般の事情により、特定の推薦候補者を選定していない教会もありますが、それぞれの決定に従って、会員一人ひとりが、有権者として主体的に選挙に参加していくことが大切であろうと思います。

特に今回の選挙には、いくつかの大きなポイントがあります。まず、現在の政権、政局の検証が必要です。本会は、前述のように、政教分離の原則を守ることを重視し、特定の宗教団体による影響力が大きいと言われる政党の政権への参加は好ましくないと考えております。このことは、現在も変わるものではなく、今後も政権の枠組みには強い関心を払う必要があります。

また、有事関連三法に代表されるように、国の行方を大きく左右する重要法案が、十分な審議も尽くされないままに成立しています。イラク戦争でも、政府は特定の国家との外交関係を重視し、イラク攻撃を支持しました。これらの動きに対しては、平和を望む多くの人々から批判の声が上がっています。本会としても、平和主義を推進する立場から、懸念を抱いております。

このような状況下で、二大政党制を望む声が大きくなっているのも、今回の選挙の特徴です。開祖さまは以前、このようにおっしゃっています。

「わたしは、何といってもアメリカやイギリスや西ドイツのように二大政党があり、与党がうまくいかなければ野党が受け皿になるという形態がいちばん望ましいと思います。一党のみが長く政権を握っておれば必ず腐敗します」(1980年4月『佼成』)

政官財の癒着は根深く、構造改革が進まない原因ともなっています。その意味からも、政治に緊張感をもたらし、与党の腐敗、失政に対する受け皿となり、政権担当能力のある健全な野党の育成が不可欠であると指摘されています。私たちに求められているのは、二大政党制に向けて、「健全な野党をつくり上げ育てていくことができる人材」「与党を内側から改革し浄化していく人材」の双方の観点から、よりよい人を選び、支援していくことです。それが、現在の政治状況にあって、一党一派に偏することなく、人物本位で判断していくということにつながるのです。

さらに、昨今、「劇場型政治」という言葉をよく耳にします。政党が人気のある人物を前面に立て、イメージ戦略ばかりに走ることに懸念が示されているのです。私たちは、表面的な甘言に惑わされず、本当に国家を真剣に考え、活動している人物を選ぶ目を養わなくてはなりません。

現在の重要な時局に、主権者である国民として政治にかかわる絶好のチャンスであると受け止め、決して棄権することなく、参政権をしっかりと行使していくことをお互いさまに呼びかけ合ってまいりたいと思います。また、選挙後も、政治に関心を持ち続け、さらに政治浄化に向けた不断の努力を積み重ねていくことが大切です。会員一人ひとりが、あらためて政治浄化活動に込められた深い願いをかみ締めたいものです。

(2003.10.31記載)