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2004年03月12日 中央学術研究所が「佼成ビハーラ講演会」を開催

中央学術研究所主催による「佼成ビハーラ講演会」が3月12日、セレニティホールで開催されました。同講演会は今年4月、佼成病院内に扶友センターが設立され、センター内に緩和ケア科ビハーラ病棟「佼成ビハーラ」が設けられることを受けて行われたものです。当日は、『佼成ビハーラ設立に向けて願うこと』をテーマに、ビハーラの会本部世話人代表で飯田女子短期大学教授の田宮仁氏が講演しました。山野井克典理事長はじめ教団役職者、佼成病院の医師、看護師、東京教区の会員ら280人が参加しました。

「ビハーラ」とは、サンスクリット語で「安らぎ、休養の場」「僧院」などの意で、現在は、仏教を基盤としたターミナルケア(終末期医療)施設の呼称として使われています。
「ビハーラ」の提唱者である田宮氏は講演の中で、日本における仏教と医療との関係を紹介。仏教伝来当時から江戸時代まで、寺院内に医療や福祉施設が設けられていたことを文献や歴史資料を用いながら解説しました。各宗派ごとに、臨終期にある患者への対応の仕方がまとめられ、適切なケアや「看取り」が行われていたと述べました。
その上で、ビハーラとは「限りある生命の、その限りの短さを知らされた人が静かに自身を見つめ、また見守られる場である」など、3つの理念を提示。「慈悲喜捨」の大切さを説いた「四無量心」、人を引きつけ救うための4つの徳「四摂事」などの教えを例に、仏教に患者と触れ合う智慧が数多く存在していることを強調しました。一方、田宮氏は仏教を生かした患者との触れ合いが必要であるとしながらも、ビハーラ活動は「仏教の宗派を超えた活動であり、布教ではない」との基本姿勢を明示しました。
また、医療従事者に求められる資質について、「患者と接する際には、医療従事者の人柄が大きな意味を持ちます。医療や看護の専門知識、技術だけでなく、一人の人間として感性や品性を磨いていくことが不可欠」と述べました。

(2004.03.19記載)