庭野平和財団の「南アジアプログラム」発会式が3月29日、インド・デリーのインド国際センターで行われました。同プログラムは、世界でもっとも貧困者が多いといわれる南アジア地域の状況を改善していくことを目的に、プロジェクトを実施する現地NGO(非政府機関)を支援していくもの。立正佼成会一食平和基金から運営資金を委託されます。当日は、今年度にパートナーとなるインドのNGO3団体の代表者はじめ、同プログラムのインド諮問委員のメンバー、来賓として榎泰邦駐インド大使、前デリー大学副総長でガンジー記念協会副会長のK・D・ガングラデ博士が出席したほか、地元デリーのNGO関係者ら50人が参加。同財団から庭野欽司郎理事長、本会から松原通雄・立正佼成会一食平和基金運営委員長が出席しました。
同プログラムはメーンテーマ『貧困の削減』に基づき、具体的で実効的な年間テーマが設定され、事業が展開されます。今年度のテーマは『食の安全保障』です。1プロジェクトの助成期間は3年が目安。来年以降、段階的にプロジェクト数を増やしていきます。
現地のニーズを的確に把握し、よりきめ細かな支援を行っていくため、同プログラムには南アジアの状況と国際協力に詳しい大橋正明・恵泉女学園大学教授がアドバイザーとして参加。インドでの事業に際しては、現地の社会状況やNGO活動に精通した地元の識者4人が諮問委員として加わっています。また、同財団の職員が専従のスタッフとして頻繁に同国を訪問し、入念な現地調査を行う体制が取られています。
パートナーとなる団体は、昨年夏の諮問委員会で今年度の年間テーマ『食の安全保障』を決定した上で、検討されました。その後、申請のあった9団体を専従スタッフが2カ月かけて調査。最終的に日本の選考委員5人によって農村開発に取り組む「アディカール」(現地の言葉で「権利」の意)、「インド総合社会福祉協会」(BISWA)、「ジャン・ジャグリティ・センター」(JJK)の3団体が選ばれました。
3月29日に行われた発会式では、庭野理事長があいさつ。支援する3団体に触れ、それぞれのプロジェクト内容を報告しました。また、同プログラムの運営資金が本会一食平和基金から委託されていることを紹介し、「南アジアプログラムのメーンテーマは『貧困の削減』です。ここには『一食を捧げる運動』の精神である『困難を共に分かち合い、すべての人が共生できる世界をつくろう』との願いと祈りが込められています」と述べました。
次いで、3団体と個別に契約書の交換が行われたあと、来賓の榎駐インド大使とガングラデ博士がそれぞれ祝辞に立ちました。
この中で、榎大使は両国の歴史的、文化的関係に触れ、仏教発祥の地・インドは日本人にとって"母国"のような存在とした上で、「このプログラムを通じて、さらに草の根レベルの相互交流が促進され、より成熟した関係が築かれることを願っています」と述べました。
一方、ガングラデ博士は、農村開発を通じて、過酷な状況にある人々の自立を支援している3団体の活動に賛辞をおくると共に、同プログラムのきめ細かな支援体制を評価し、現地のニーズに合った活動が展開されることに期待を寄せました。
なお、今年度のプロジェクトは4月1日よりスタート。毎年夏には、同財団の専従スタッフにより実施状況が確認されます。来年度は、バングラデシュでもプロジェクトが開始される予定です。
※メモ
南アジア......世界開発報告(2000/2001年版)によると、1日に1ドル以下で生活している世界の人口は11憶9800万人。このうち、44パーセントが南アジアに集中する。南アジアプログラムでは、インド(最貧州とされる同国北東部を中心に7州)、バングラデシュ、スリランカ、ネパールを対象国にしている。
(2004.04.09記載)
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