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2004年05月31日 JEN セルビア・モンテネグロでの活動を現地NGOへ移譲

旧ユーゴスラビア地域で難民・避難民のための支援活動を続けてきた特定非営利活動法人ジェン(JEN)が、10年間にわたるセルビア・モンテネグロでの活動を終え、5月末日で撤退しました。旧ユーゴスラビア紛争後の緊急支援からスタートし、復興に至る段階に必要な支援を続けて10年。現在は、ジェンが生みの親となった現地NGO(非政府機関)が、活動を引き継ぐ形となっています。本会もジェンに加盟しており、「ゆめポッケ・キッズキャンペーン」などを通して支援を行ってきました。

1994年、ジェンは、発足と同時にセルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア・セルビア共和国)での活動をスタートしました。旧ユーゴスラビア紛争によってセルビアに逃れてきたクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナからの難民に対する物資の配布、また、心のケアに重点を置いた「心理社会プロジェクト」として、編み物教室やスポーツなどのワークショップやカウンセリングも行ってきました。緊急支援の段階を脱してからは、職業訓練をはじめ、自助自立につながる活動も展開。ここ数年は、セルビアへの定住を望む難民・避難民が地元の人々とコミュニケーションを図り、現地に浸透するためのワークショップをはじめ、政府や行政区と協力して児童虐待などの問題にも積極的に取り組んできました。
戦後10年が経ち、国が比較的安定してきたこと、ジェンの現地スタッフが、自分たちで組織を運営し、社会的に困難な人々を支援するノウハウを身に付けたことにより、これまでジェンの拠点としてきたセルビアの首都ベオグラード、南部の中心都市ニシュの2カ所の事務所で実施した事業を現地の人々に引き渡しました。ジェンのセルビアでの活動に対し、本会では「一食平和基金」を通してサポートしてきました。「ゆめポッケ親子ボランティア隊」も派遣し、現地の子供たちに直接ポッケを配布。NATO(北大西洋条約機構)軍の空爆の際には、「アフリカへ毛布をおくる運動」で集められた毛布の一部を緊急支援としておくっています。
ニシュで事務所長を務めた杉本亜季スタッフは次のように語っています。「『撤退』と言っても、現地の状況が完全に安定したわけではありません。貧富の差は激しく、戦時中には見られなかった児童虐待などの問題も深刻化しています。10年間にわたる活動の中で、『ゆめポッケ』はジェンにとって重要なプロジェクトでした。子供たちだけでなく、保護者やジェンの現地スタッフにも『日本の人が私たちを思ってくれている』という希望につながっています。皆さんの支援に感謝するとともに、今後も関心を持ち続けて頂きたい」。
なお、旧ユーゴスラビアでは、ボスニア・ヘルツェゴビナでの難民支援活動が引き続き行われています。

(2004.06.11記載)