庭野平和財団が支援するBNN(仏教NGOネットワーク)の第4回研修セミナーが9月14日、東京・新宿区の慈母会館で行われました。宗教者やNGO(非政府機関)関係者ら25人が参加しました。
セミナーでは、SVA(シャンティ国際ボランティア会)緊急救援室長の関尚士氏による「イラン大地震報告会」が開かれ、現地の状況と支援活動が報告されました。
関氏は、昨年12月末の地震発生直後、同国南東部ケルマン州バム市に入り、子供の教育支援のニーズ調査にあたりました。報告会では、同市総人口の22%にあたる2万6000人が死亡し、親を亡くした子供たちが急増した現状をはじめ、地震被害を受けた孤児院や幼稚園の修復、仮設園舎の提供、生活物資の配布、教員トレーニングなどに取り組んできた経緯が紹介されました。
また、関氏は長期の被災生活によるストレス緩和のために教員や生徒に実施した「遠足」プログラムに触れ、「心のケアなどソフト面の支援は、成果が見えにくく、活動に協力してくれる方々に理解を得にくい部分がある。ソフト面の支援に対する理解を深めて頂けるよう努力したい」と述べました。
質疑応答では、会場から「支援物資はどのように調達したのか」「文化の違うイスラーム圏での戸惑いはなかったか」などの質問が出され、さまざまな意見が交換されました。
このあと、SVAの茅野俊幸事務局長がイランでの活動を振り返り、「子供の教育支援に焦点を絞って、調査にあたったことが、一定の成果をあげることができた要因の一つだと思います。被災者には全面的な支援が必要ですが、限られた資金と人材の中で、各NGOが効果的に支援を行っていくためには、自分たちの経験や能力を現地でどのように生かすことができるかを分析して活動にあたることが大切」と述べました。
(2004.09.24記載)
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