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2004年12月12日 WCRP平和大学講座

『霊性に目覚める――平和のために「いのち」を問い直す』をテーマにWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は12月12日、セレニティホールで「平成16年度平和大学講座」を開催しました。120人が参加しました。)

同講座では毎回、今日的なテーマを取り上げ、宗教と平和のかかわりを学び、宗教者の役割を模索しています。当日は、白柳誠一・WCRP日本委理事長(カトリック枢機卿)のあいさつに続き、薗田稔・秩父神社宮司、山田經三・イエズス会神父が講演しました。
薗田宮司は、テロや凶悪殺人事件の続発に象徴される人命軽視の風潮や、環境破壊が進む現状に危惧の念を示しながら、宗教者は、各宗教が共有する「霊的生命観」に基づき「生命倫理」を確立することで平和に貢献できると主張しました。そして、「すべてのものにいのちが宿り、それらが互いに生かし生かされていることを認識し、謙虚に生きる姿勢が大切」と述べました。山田神父は、人間には、平和や他人のためにいのちを捧げたいと願う『霊性』と同時に人に危害を及ぼそうとする悪魔の心も共存する」と指摘ました。その上で、自身が宣教活動を行う東ティモールで、父親を虐殺された子供たちが恨む心を捨てて神父を目指している例を紹介し、憎しみよりも愛の道を選ぶ尊さを強調しました。
このあと、眞田芳憲・中央大学教授(WCRP平和研究所所長)をコーディネーターに、佐藤純一・国際メタテクニカテクノロジー研究センター所長、薗田宮司、山田神父によるパネルディスカッションが行われました。この中で、「自己犠牲はマイナスとして受け止められがちだが、本来、大いなるものに自己を捧げるという宗教的意味合いがあり、人間として最高に価値ある生き方」といった意見が出されました。また、子供たちにいのちや平和の尊さを伝える上で、妊娠、出産を経験する女性の果たす役割の大きさや幼児教育の大切さについて言及されました。

(2004.12.17記載)