「第4回教団付置研究所懇話会」が10月6日、東京・港区の曹洞宗檀信徒会館(東京グランドホテル)で行われ、22の研究機関から60人が参加しました。本会からは中央学術研究所の今井克昌所長、掛場一彰・教学委員長ら4人が出席しました。懇話会では、代表者3人が研究発表に立ち、宗教界が抱える課題や現代の問題に対するそれぞれの取り組み、成果が発表されました。
教団付置研究所懇話会は各教団に設置された研究機関が宗教、宗派の違いを超え、情報交換や研究協力の可能性を探っていこうと4年前に発足しました。本会付属の中央学術研究所も発足当初から参加し、一昨年の10月には佼成図書館で第2回同懇話会が開催されました。
4回目となる今回は、『日蓮宗の歴史から学ぶ平和と戦争――戦争終結60周年を機に戦時下宗門を総括する』と題して日蓮宗現代宗教研究所の伊藤立教主任が研究を発表。また、浄土宗総合研究所の今岡達雄専任研究員が『臓器移植法改正について――浄土宗から見た見解』をテーマに、大本教学研鑽所研鑽室の斉藤泰室長が『生命倫理研究部会の報告』と題してそれぞれ発表しました。
この中で伊藤氏は、明治政府発足以来の国家神道体制のもとで、日蓮宗が国の進める「皇道仏教」や戦争遂行の政策に協力した事実を紹介。その上で、今後、再び同じような過ちを繰り返さないために研究の意義があることを強調しました。
今岡氏は臓器移植法改正の動きに対し、浄土宗が今年、平成4年に提出した報告書の見直しを行った経緯に触れ、脳死を人の死とする法改正に賛成できないとの立場を示しました。「臓器移植促進のために死の概念を安易に変更することは命の軽視につながり、人間の尊厳が軽視される社会を助長する」と述べました。
最後に発表に立った斉藤氏は、同懇話会の成果の一つとして今年発足した「生命倫理研究部会」を挙げ、臓器移植法改正問題について各教団の見解を意見交換してきたこれまでの取り組みを説明しました。
(2005.10.14記載)
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