『輝かせたい憲法第九条』をテーマに「宗教者九条の和」主催による「第1回平和巡礼とシンポジウム・イン東京」が11月5日、東京・麹町のカトリック麹町聖イグナチオ教会で行われ、仏教やキリスト教の宗教者ら270人が参加しました。シンポジウムでは中央学術研究所の小林延行所員がパネリストを務めました。
「宗教者九条の和」は今年4月に発足し、本会からは松原通雄外務部長が呼びかけ人(66人)に名を連ねています。
当日は、同教会のあるJR四谷駅前から市ケ谷駅まで200人が平和巡礼として行進。憲法九条は「日本の宝、世界の宝」と市民に呼びかけました。
シンポジウムでは、大正大学元学長の村中祐生・天台宗慈照院住職が基調講演に立ちました。この中で村中住職は憲法改正への動きに加え、教育基本法の見直しや国民に「愛国心」を求める動き、首相の靖国神社公式参拝を挙げ、全体主義的傾向を強める昨今の政治動向に警戒感を示しました。その上で、「諸外国の文明、文化と対決するのではなく、互いに認め合っていく共生が大事」と述べ、「今こそ感情ではなく、智慧に基づいた広い視野で世界を見ていくことが必要」と訴えました。
このあと、村中住職、日蓮宗現代宗教研究所元所長の石川浩徳・本念寺住職、小林延行・中央学術研究所所員、高見三明・カトリック長崎教区大司教をパネリストにディスカッションが行われました。山本俊正・日本キリスト教協議会総幹事がコーディネーターを務めました。
石川住職は自身の戦争体験に触れ、「軍備が増強されることによって、諸外国から危険視されるようになる。60年前、軍備が何を守ってくれたのか」と九条を改正して自衛軍を持つことに懸念を表明。次いで小林所員は、庭野開祖が「戦争を放棄した平和憲法を日本の誇り」と考え、「戦争放棄の精神こそが世界に平和を築く」との意思を持っていたことを紹介。軍事バランスの上に成り立つ平和は崩れやすく、軍備なき世界という理想を現実にしていく努力こそ必要と述べました。
高見大司教は、この60年間で戦争をしていない国は日本をはじめ6カ国しかないことを紹介し、九条の意義を評価。また、戦前は国策に従わない宗教団体に弾圧が加えられ、それに伴い、戦中は国策にならって戦勝ミサを行った歴史に触れ、「自国が勝つために、人を殺すことを祈るような行為はしたくない」と述べました。
(2005.11.11記載)
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