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2006年03月07日 WCRP日本委員会がWCRPVIII事前学習会を開催

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の「第32回平和のための宗教者研究集会」が、3月7日午後、国立京都国際会館で開催され、加盟教団から約300人が参加しました。今年8月に京都で開催されるWCRPVIII(第8回世界宗教者平和会議)の第1回事前学習会として行われました。次回の学習会は、6月の「平和大学講座」で実施されます。

開会のあいさつに立った庭野日鑛理事長は、WCRP I(第1回世界宗教者平和会議)で発表された大会宣言文に触れながら、「WCRPの草創期から平和の構築に献身されてきた多くの先達の労苦を偲ぶと共に、先達が願ってこられた世界を実現できるよう互いに精進させて頂きたい」と述べました。
研究集会では、ホアン・マシア・教皇庁立コミリアス大学生命倫理研究所所長(WCRP日本委平和研究所特任所員)が、『暴力と宗教――闘争か和解か、人間の選択』をテーマに基調講演。2004年3月に起きたスペインでの同時列車爆破テロ事件に触れながら、宗教者は平和のために発言し、行動するだけでなく、他を排斥するというような宗教者自身が背負ってきた矛盾に気づくべき、と強調しました。その上で、「あくまで自分の心の中に平和をつくり、そこから社会の中に平和をつくっていく。そのためにお互い励まし合うという気持ちを皆さんと分かち合いたい」と述べました。
このあと、眞田芳憲・中央大学教授(WCRP日本委平和研究所所長)をコーディネーターにパネルディスカッションが開かれ、山崎龍明・武蔵野大学教授(同平和研究所副所長)、山田經三・上智大学名誉教授(同平和研究所所員)、ホアン・マシア教授の3人が発題しました。山崎教授は、暴力と紛争に対する現実性のある想像力の発揮、学校教育での平和に関するカリキュラムの展開、非暴力と不服従の精神の具体化などについて指摘。山田教授は、東ティモールで3年にわたり取り組んだ自立・自助努力による共同体づくりを振り返りながら、「互いに必要としつつ生きることが共生」と暴力の対極にある共生の精神を説きました。ホアン・マシア教授は、基調講演での発言を補足する形で、「それぞれの宗教が出会い、影響し合うことによって、自分の良さに気づくと同時に、矛盾にも気づかされる」と宗教対話の重要性を強調しました。
眞田教授は、WCRPVIIIのメーンテーマである『平和のために集う宗教――あらゆる暴力をのり超え、共にすべてのいのちを守るために』について、宗教者独特の取り組みをどう進めるか問題提起。WCRPVIIIに向けては、「三十数年前に京都で第1回世界大会を開催した先人の思いを踏まえることが大事」と参加者に促しました。
続いて、各パネリストによる意見交換、聴講者を交えた質疑応答が行われました。

(2006.03.17記載)