庭野平和財団が進める「南アジアプログラム」の2006年度のインドでの支援先がこのほど、現地のNGO(非政府機関)3団体に決定されました。06年度の年間テーマは『周縁化された人々』。また、今年度から新たにスリランカでも『内戦に伴う国内避難民』を年間テーマに現地NGO2団体と協働でプロジェクトを実施することになりました。1プロジェクトの実施期間は3年が目安で、今月からスタートします。同プログラムは本会一食平和基金から運営資金を委託されています。
今回、現地調査を踏まえ、選考委員会によって決定されたインドの支援先は、「ACM」(アントヨーダヤ・チェタナ・マンダール)、「AALI」(アドボカシーと法的イニシアティブ協会)、「アルシ・ソサイアティー」(「日の出社会」の意)の3団体。
ACMはオリッサ州マユルバンジ郡に暮らす指定部族のローダ族を支援します。狩猟や採集の生活を送ってきたローダ族の人々は現在、自然資源の減少や森などへのアクセスの制限などに加え、社会的差別を受けて極貧の生活を強いられています。こうした現状に対し、ACMは保健衛生や教育、職業訓練を実施し、差別解消に向けた人権啓発活動を行っていきます。
AALIは、弁護士の女性たちが設立した市民団体で、ウッタル・プラデーシュ州ラクナウ市で社会的に弱い立場に置かれた女性たちの法的な救済にあたってきました。南アジアプログラムでは、暴力や差別的な扱いを受けている女性のために、同団体が開設する緊急支援センター「ハムサファール」(「私たちの友だち」の意)の運営をサポートします。また、アルシ・ソサイアティーは同国中央部のマディヤ・プラデーシュ州ボパール市でさまざまな障害を抱える青少年を支援してきました。15歳以上の障害者を対象に、経済的自立に向け、コンピューター処理や障害者向け特別家具や伝統工芸製作の職業訓練を行う予定です。
一方、今年度から新たにスリランカでもプロジェクトがスタートします。同国では、首都コロンボを中心にする政府(主にシンハラ民族)と同国北東部に拠点を持つ「LTTE」(タミル・イーラム解放の虎、タミル民族)の内戦によって現在も、約35万人が国内避難民となり、困難な生活を余儀なくされています。同プログラムでは、彼らを援助するシンハラ人基盤のNGO「アグロマート・アウトリーチ財団」とタミル人基盤のNGO「トリンコマレー開発協会」を支援することを決定しました。
アグロマート・アウトリーチ財団では、コロンボから北120キロに位置する避難民キャップで生活し、少数派で弱い立場にあるムスリムの女性を対象に農業技術の指導や職業訓練、小規模ビジネスの方法の指導などを実施。トリンコマレー開発協会はキャンプなどに暮らす避難民たちの故郷への帰還事業を進めていきます。
※メモ・南アジアプログラム
『貧困の削減』をメーンテーマに2004年4月、インドでスタートした。05年度にはバングラデシュでもプロジェクトを開始。今回決定した支援先を含め、今年度は3カ国で計12プロジェクトを実施します。
(2006.04.21記載)
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