『仏教のダルマ・慈悲と、キリスト教の愛・アガペ』をテーマにした「第2回仏教とキリスト教シンポジウム』(主催=天台宗・本会、協力=フォコラーレ運動)が、4月24日から27日まで大阪教会、比叡山延暦寺を会場に開催されました。仏教徒代表、世界各地のフォコラーレ運動代表ら約80人が参加。本会から庭野日鑛会長はじめ、國富敬二・時務部長、篠崎友伸・学林学長、園浩一・近畿教区長、近畿教区の教会長が出席しました。
同シンポジウムは、仏教の「慈悲」、キリスト教の「愛」を基調にそれぞれの宗教の教義や社会とのかかわりなどを学ぶとともに、信仰体験発表などを通して霊性の交流を深めるもの。一昨年4月、イタリア・ローマ市郊外での第1回に続き、開催されました。
大阪教会で行われた開会式では、キアラ・ルービック・フォコラーレ運動会長のメッセージが読み上げられたあと、濱中光礼・天台宗宗務総長、庭野会長があいさつ。庭野会長はこの中で、フォコラーレ運動の「一致」と大乗仏教の「一乗の精神」は表現や行動の方法に違いがあるようにも思えるが、そうした違いは人間の尺度での見方から生まれるものと指摘。神仏による尺度で見れば、それぞれの宗教の目指すところはひとつであり、人々の平安を願うことであるとしました。その上で庭野会長は、「対話を通じて互いの宗教を理解するとともに、自分の信ずる教えに、より深い意味があることを教えて頂けることと思います」と述べました。
続いて同会場で3日間にわたり、計6つのセッションが行われ、討議が重ねられました。各セッションのテーマは、『キリスト教・仏教における和――個と全体』『キリスト教・仏教における他者』『信仰と社会生活』『社会におけるモラルの復興――アガペ・ダルマと現代』『信仰と苦』『現代における諸宗教対話の役割』。
『キリスト教・仏教における他者』をテーマにしたセッションでは、篠崎学林学長が『法華経における他者の問題――無上の覚りと一切衆生への慈悲』と題して発表。篠崎学長は、法華経では、「本当の覚りは他者の覚りと共に」あるとし、「自己の覚りへの過程は他者への慈悲、そして、他者の救済を祈る主体へと変身する過程にある」と述べました。
また、『家庭における信仰』をテーマにした体験発表では、園教区長が「信仰を持つよろこびは、日々の暮らしの中でいつも仏さまを想い、さまざまな出来事の中で仏さまに出遇え、共に歩んでいける幸せだと思います」と述べたあと、家庭の大切さを強調。教団としても、温もりのある家庭を目指し三つの実践に取り組むことを紹介しました。
24日夕には文化プログラムが行われ、参加者は大阪教会の会員と共に、茶道、書道、琴、日本舞踊など日本文化に親しみました。
最終日の27日には、比叡山延暦寺の根本中堂に会場を移し、「祈りの集い」を実施。フォコラーレ運動、タイ仏教の祈りに続き日本仏教による祈りが行われ、庭野会長が脇導師を務めました。
(2006.05.12記載)
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