大会参加者は「紛争解決」「平和構築」「持続可能な開発」の3研究部会に分かれ、宗教者の役割を討議しました。各研究部会はさらに3つの作業部会に細分化され、議論が掘り下げられました。各研究部会でまとめられた提言は大会最終日に行われた全体会議Vで発表されました。
【紛争解決研究部会】(<1>紛争調停・交渉<2>和解と癒し<3>紛争予防)
紛争を予防する答えは一人ひとりの心の中にあり、心の調和、寛容、相互尊重の精神が対話や平和共存をもたらすとの認識が示されました。そのためにまず宗教者同士が調和を保ち、対話を継続し、異宗教や異文化に対する正しい情報を普及させ、平和教育を推進する重要性が指摘されました。
また、宗教者は精神的な資源や力を活用して紛争調停・交渉の過程に積極的にかかわれるという期待が表明されました。具体的には諸宗教間のネットワークを強化し紛争当事者間の信頼を醸成すること、宗教者による紛争調停の経験を市民と共有し、その情報をマスコミに提供することなどが挙げられました。
さらに、和解は個人の関係修復から始まり地域社会や国に波及するとの見解が示され、宗教者の特性の一つである許しの心を人々に奨励する必要性が訴えられました。紛争で傷ついた人々に対する心のケアも宗教者の重要な役割であると確認されました。
【平和構築研究部会】(<1>武器拡散、軍縮、安全保障<2>暫定的公正と人権<3>平和教育)
真の安全保障とは、国家の安全ではなく、すべてのいのちが守られることであると定義づけられました。その上で、WCRPとして今後、世界の武器管理や軍縮を唱導し、各国政府や国連にもはたらきかけていくべきとの提案がなされました。
暴力が生まれる原因として貧困や人権の剥奪、偏見、恐怖、利己主義などが列挙され、これらを阻止する要素として人権の尊重や公正さの確保が強調されました。正義や真実を追究するには宗教者による息の長い取り組みが求められると明示されました。
平和教育を宗教共同体、市民社会、国家レベルでさらに進める必要があることにも言及されました。特に、子供たちへの教育が平和をつくり出す根本であり、そのことを通して、寛容の精神を行動に移し、互いに理解し合い、尊敬の念を持ち、互いの価値を共有できる環境をつくることが重要との見解で一致しました。
【持続可能な開発研究部会】(<1>子どもとHIV/エイズ<2>貧困撲滅<3>環境)
エイズの問題は、子どもたちの基本的人権を守る上でも重要という認識が示されました。WCRPは政府や国連と協力し、エイズの予防や治療、情報の伝達、エイズ患者やエイズ孤児に対する差別や偏見の解消などに今後も一層努めるべきとの勧告がなされました。
貧困は政治の不透明性や腐敗にも原因があることから、宗教者として政府に対するモニタリングや提言を行う必要があると指摘されました。金融機関や開発組織との連携、市民に対する職業訓練、能力開発プログラムなどの実施案も提示されました。
環境破壊によって人類が危機に瀕している現状にも警鐘が鳴らされました。地球環境の調和を取り戻すため、WCRPとして、環境に関する常設委員会の設立、環境保護団体の顕彰、環境にやさしい生活の促進、環境に関する書物の出版などを行う必要があると訴えました。
(WCRP日本委提供)
(2006.09.08記載)
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