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2006年08月26日 第8回WCRP世界大会開会式

第8回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会の開会式が8月26日、京都市の国立京都国際会館で行われました。大会のメーンテーマは『平和のために集う諸宗教――あらゆる暴力をのり超え、共にすべてのいのちを守るために』。1970年の第1回大会以来、36年ぶりに日本で開催された大会には、100を超える国・地域から500人の正式代表者を含む約2000人が参加し、WCRPの歴史上、最大規模となりました。大会受け入れ国の日本からは18人の正式代表が参加。本会からは庭野日鑛会長(WCRP日本委員会理事長)、庭野光祥次代会長、松本貢一青年本部長、酒井教雄参務、泉田佳子元責任役員の5人が正式代表として参加したほか、オブザーバー、スタッフ、ボランティアなど多数が大会に加わりました。開会式では、すべての宗教は「平和への道」であるというモチーフをもとにセレモニーが行われ、日本の宗教指導者を代表して渡邊惠進・天台座主があいさつ。小泉純一郎・内閣総理大臣が祝辞を述べました。大会は29日まで4日間にわたり開催され、全体会議、研究部会などで討議が重ねられました。

今大会は21世紀に入って初めての世界大会であり、2001年の「米国同時多発テロ」以降、初の大会となります。前回、1999年のヨルダン・アンマンでの世界大会は『共生のための地球的行動』をテーマに開かれ、地域紛争解決に向けた宗教者の役割が一つの焦点となり、ボスニア・ヘルツェゴビナ、シエラレオネなどのIRC(諸宗教評議会)の活動が注目を集めました。
その後、WCRP国際委員会は、世界各国に新たなIRC(諸宗教評議会)を設立し、その数は前大会時の33カ国から70カ国にまで増えました。今大会を通して、宗教協力による平和貢献のネットワークをさらに強化することが目指されています。
WCRPの原点とも言える京都の地で、あらためて宗教者としての役割を真摯に見つめ、今なお続く紛争、貧困、人権侵害、疾病、環境破壊などさまざまな形の"暴力"を乗り越えて平和な世界を築くことを目的に「紛争解決」「平和構築」「持続可能な開発」に向けた具体的な行動計画を模索します。紛争を抱える地域の宗教者も参加しており、紛争当事国間の会合など、現在の国際情勢に対応した動きも注目されます。
また、初の「青年世界大会」(8月21~25日)、「女性会議」(同24、25日)も開かれ、そこでの意見や提言も本大会の討議に反映されます。
開会式では、WCRPの歴史や活動を紹介するVTRの上映のあと、ヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、神道、民族宗教の子供たち7人が平和のメッセージを読み上げ、すべての宗教が「平和への道」であることをアピール。開会宣言に続き、書家の吉川壽一さんが大書のパフォーマンスを披露し、力強い「道」の一文字がステージ上に高く掲げられました。
レオニド・キシコフスキー・WCRP国際委副実務議長のリードで宗教代表者10人が宗教協力に向けたコミットメント(誓約)を力強く発表。参加者全員が起立し、コミットメント文を唱和したあと、周囲の人々と「平和のあいさつ」を交わした。大会テーマソング『この道を』の合唱に続き、一燈園の女子高校生が地球への感謝をこめてサヌカイトの鐘を鳴らしました。
次いで、国内外の代表12人が登壇。出口紅・大本教主、ガンジー開発財団のエラ・ガンジー氏(元南アフリカ議会議員)、森清範・北法相宗大本山清水寺貫主、矢田部正巳・神社本庁総長、小泉純一郎・内閣総理大臣、渡邊惠進・天台座主、エル・ハッサン・ビン・タラール・WCRP国際委実務議長(ヨルダン王子)、ウィリアム・ベンドレイ・WCRP国際委事務総長、庭野日鑛・WCRP日本委理事長、ムハンマド・ハタミ・イラン前大統領、ジョン・オナイエケン・アブジャ大司教(カトリック、ナイジェリア)、白柳誠一・カトリック枢機卿が着座しました。
歓迎のあいさつに立った渡邊座主は、各国からの参加者に敬意を表した上で、第二次世界大戦により全世界で多大な犠牲者を出したにもかかわらず、今なお中東地域をはじめ各地で戦火が絶えない現状を憂いながら、「私たち宗教者は神の正義、仏の智慧を説く前に、神の愛、仏の慈悲を実践する平和の名に相応しい者であるか深い自省と固い決意を新たにしなければなりません」と表明しました。
続いて、ローマ教皇ベネディクト十六世の祝辞を濱尾文郎カトリック枢機卿が代読。この中で教皇は「人は真理の輝きに照らされれば、いつでもどこでも、おのずと平和への道を歩み始めることを確信します」と述べ、「ますます多くの人が正義と平和への道を歩もうと努力する世界」の実現に向け、会議に期待を寄せました。
小泉首相は、来賓祝辞の中で「世界が抱える困難や対立を克服するために、対話を通じて、文化や宗教の違いを乗り越え、相互の信頼を深めることは可能であると信じております」と語りました。
このあと、ハッサン実務議長がスピーチ。諸宗教紛争解決評議会の設立を提言し、「内部で悩みを抱える人が訴えられる場にしたい」と語りました。また、「インターネットによる人間のつながりから、インナーネット、心の中のつながりにシフトしなければならない」と力説した上で、会議での決定を行動に移していくことが重要と指摘しました。
最後に、ベンドレイ国際委事務総長が、「宗教は原理主義者、短絡的な政治家、センセーショナルな話題を求めるメディアにハイジャックされている」と語り、「共にすべてのいのちを守る」ためには諸宗教共同体が協力し、さらに政府や開発援助組織、財団、企業など各界と協力することが必要と考えを示しました。

(2006.09.01記載)