(写真提供・ジェン)
イスラエル軍とレバノンの武装組織ヒズボラとの33日間にわたる戦闘が昨年8月に停止してから半年が経ちました。停戦直後からレバノンで緊急支援にあたっていた「特定非営利活動法人ジェン」(本会も加盟)が、先ごろ活動を終え、現地から撤退しました。ジェンが行ってきた事業のうち、瓦礫撤去及び住宅再建のための道具の貸し出しは、ジェン撤退後も現地の住民が引き続いて実施しています。レバノンでのプロジェクトには本会一食平和基金から600万円の支援が行われました。
ジェンは昨年8月17日にレバノンに入り、首都ベイルートに事務所を開設しました。戦闘中、周辺国やレバノン各地に避難していた人々が停戦によって、相次いで帰還しましたが、破壊された家屋も多く、そのままでは生活を再開できる状態ではありませんでした。ジェンは、現地のニーズ調査を開始し、その上で、子供や高齢者、障害者がいる世帯をはじめ、世帯主が失業したかまたは亡くなった世帯、家屋の損壊状況がひどい世帯などを中心に衛生用品キットを配布。支援の手が届きにくい5つの村で208世帯の人々にタオル、せっけん、歯ブラシ、水タンクなどを手渡しました。
現地で活動にあたった浦香織里プログラムオフィサーの報告によると、イスラエル軍の爆撃で建物はひどく破壊され、砲弾の跡が残る家屋で生活し続ける人や、テントで暮らす人もいるといいます。また、親戚の家に身を寄せ、狭い家に数家族が同居するケースも少なくありませんでした。このような状況下、他団体が住宅再建の資材を提供したことから、ジェンでは再建をサポートする形で、工事用の一輪車やシャベル、ハンマー、コンクリートミキサーなどの支援を決めました。道具の提供にあたり南部の38の村に、村のリーダーたちで構成される道具管理委員会を組織。住民の状況を把握している委員会が村のニーズに合わせて宣伝活動を行い、公平に道具を貸し出しています。ある村では、村の中心部にあるモスクのミナレット(礼拝時刻の告知を行う高い塔)に取り付けられたスピーカーを使って道具の貸し出しについて宣伝しています。村人からは、「道具を必要としていたけれど、買うお金がなく困っていました。とても役立っています」と喜びの声が寄せられています。
停戦から半年が経つレバノンでは現在、政府から住民に対する現金の支給も行われ、人々の生活が徐々に回復し始めています。国が中心となって復興の道を歩み始めていることから、ジェンは事業を終了しました。道具管理委員会は引き続き、現地の人々により運営されます。
浦スタッフは、「レバノン全土が空爆を受けた影響で、高速道路が寸断されているなどインフラ整備はまだ滞っていますが、同国の主体性を尊重し、撤退しました。私共が同国のニーズに沿った活動ができたのは、一食平和基金の迅速なご支援があったからこそです。心より感謝申し上げます」と話しています。
(2007.02.23記載)
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