本会も加盟する「特定非営利活動法人ジェン」が南部スーダンで活動を開始しました。南北スーダンの22年間に及ぶ内戦が2005年に終結して以降、エリトリアやウガンダなどの近隣諸国に逃れていた人々の大量帰還が始まっています。一方で、トイレや飲料水など衛生面での整備が進んでおらず、昨年には南部スーダンでコレラが大発生するなど、大量の帰還民を受け入れる社会基盤が整っていません。こうした状況を受け、ジェンは「学校水衛生改善事業」をスタート。小中学生を対象とした衛生教育を行うと同時に、トイレや井戸の建設などを行っていきます。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の報告によると、22年間にわたる内戦の間に35万人以上が近隣諸国に逃れ、350万人が国内避難民として厳しい生活を強いられていました。2005年の和平合意以降、難民の帰還が始まり、昨年は96508人が故郷に戻りました。今年は10万2000人の帰還が見込まれています。
一方で、帰還地域が戦争の影響で破壊され、治安、水、衛生、教育などの社会基盤が整っていません。特に水環境が劣悪な状況にあり、トイレや井戸が少ないほか、多くの人がナイル川の水を飲料水として使用しているため、下痢やコレラが多発しています。
こうした状況を受け、ジェンは今年1月からニーズ調査をスタート。南部スーダンの首都ジュバに事務所を設けました。
支援対象地域は、ウガンダやコンゴ民主共和国からの帰還予定地とされる中央エカトリア州のテレケカ郡とラニャ郡。78の小中学校で衛生教育を行います。教育にあたり村人や保護者を含めた委員会を設置し、それぞれの村の伝統に合った教育プログラムを検討していきます。また、同時に学校のトイレや井戸を設置する計画です。現在、現地採用のローカルスタッフ23人と国際スタッフ3人が準備を進めています。今回の事業は12月までの9カ月間を予定。事業の立ち上げにかかわった平野敏夫・海外事業部次長は、「今回の事業は12月までですが、帰還民が再定住するためには、水衛生事業の継続と、教育や職業訓練などの支援が必要です。2011年に国民投票が行われるので、南部スーダンの復興のために長い目で支援を行っていきたい」としています。
(2007.05.31記載)
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