「ゆめポッケ・キッズキャンペーン」(主管・青年本部、外務部)が6月1日にスタートしました。同キャンペーンは、民族間の対立や紛争などによって心に傷を負い、厳しい環境で生活する子供たちに、文房具やおもちゃを詰めた手作りのポッケを贈る運動。今年で9年目を迎えました。8月31日までの期間中、本会の小・中学生を中心に活動が進められ、各家庭でポッケづくりが行われます。
同キャンペーンは、「"モノ"だけではなく"まごころ"を届けよう」との願いから、「一食を捧げる運動」の精神を踏まえた小・中学生の平和活動と位置づけられています。キャンペーンがスタートし、全国各教会では今後、少年部員や青年婦人部員を対象にした事前学習や啓発活動が行われます。
調布教会は4月15日、キャンペーンのスタート前に事前学習会を実施。今年、「ゆめポッケ親子ボランティア隊」の一員としてアゼルバイジャンを訪問した南多摩教会の親子を招き、現地の状況や配布時の様子などの説明を受けました。このあと、少年部員が法座を行い、「気持ちを込めてポッケを作ろう」「お菓子を我慢して献金しよう」などの実践目標を掲げました。また、教会独自で作製したゆめポッケのステッカーを張った一食募金箱を配布し、家庭での取り組みを始めています。
鹿沼教会では6月3日、外務部スタッフを講師に招き、学習会を開催。集まった少年部員など約100人は、配布国の状況やポッケの重要性について学びを深めました。同日、茂原教会では、「○×ゲーム」を用いて学習会を実施。参加した親子は、えんぴつや消しゴム、歯磨き粉などのイラストをポッケに詰めて「よい物」と「悪い物」に分けて黒板に張り付け、楽しみながらプレゼントの品目を確認し合いました。仙台や沼津、安城の各教会でも事前学習会が催されます。
一方、ポッケづくりを始めた教会もあります。川越教会は、5月26日に「ゆめポッケ運動スタート式」を教会道場で実施。少年部員など22人が、啓発ビデオを鑑賞したあと、ポッケと手作りカードを作製しました。
このほか、佼成学園女子中学校では、宗教委員を中心に全校生徒が同キャンペーンに参加。校内にポッケの中身を収集するコーナーを設け、5月下旬から宗教委員が提供を呼びかけています。6月9日にはボランティア隊に参加した生徒が体験を報告。英語のメッセージ文が紹介され、ポッケの作り方が説明されます。生徒たちは、30日までポッケと手作りカードの作製に取り組みます。
今後、多くの教会では夏休みを中心に活動が展開される予定です。
ゆめポッケ配布先 レバノン北部の難民キャンプは今
5月20日に勃発したレバノン政府軍とイスラーム・スンニ派武装組織「ファタハ・イスラム」との戦闘が激化しています。戦闘の拠点となっているレバノン北部の「ナハルエルバレド難民キャンプ」は「ゆめポッケ・キッズキャンペーン」の支援先の一つでもあり、約3万人のパレスチナ難民が暮らしています。立正佼成会とつながりのある「パレスチナ子どものキャンペーン」(東京・目白)の田中好子事務局長に、現地の状況や「ゆめポッケ」に携わる会員へのメッセージを語って頂きました。
避難先のバダウイ難民キャンプでは10人が暮らしていた部屋に30人が生活している。(写真提供=パレスチナ子どものキャンペーン)
衝突が始まったのは5月20日夜、多くのパレスチナ難民がパジャマ姿のまま、何も持たずにキャンプを逃げ出し、近くにあるバダウイ難民キャンプに避難しました。約3万人のうち2万人は危険を逃れましたが、いまだ1万人は戦禍に怯えていると言われています。キャンプ内のくわしい様子は、現地NGO(非政府機関)もつかめないほど混乱した状況で、安否確認が急がれます。
避難した子供の中には、スナイパー(狙撃兵)に銃口を向けられた子もいます。また、両親と離れ離れの生活を強いられている子もいます。自力で歩くことのできない高齢者や障害者を抱え、小さな子供だけを脱出させて難民キャンプに残った親が多いのです。子供たちは怖い思いをした上に、一番の依りどころである親と離れ、精神が不安定な状態にあります。避難先のキャンプでは子供たちの心のケアに重点を置いた活動が行われています。
戦闘に巻き込まれたナハルエルバレドのキャンプには、立正佼成会の皆さんのつくった「ゆめポッケ」を受け取った子供たちがたくさんいます。大事なおもちゃを握りしめて逃げた子もいれば、残念ながら戦火に焼かれ、泣いている子もいます。
混乱状態にある今は、食糧や生活必需品などの支援が最優先とされ、子供たちの楽しみは後回しです。もちろん食糧の支援は大事ですが、それだけで人は幸せになれません。特に子供たちは、つらい最中にあっても「楽しい時間」が必要であり、その積み重ねが未来への希望につながっていきます。
これから皆さんがつくるポッケが必ずしもパレスチナの子供たちに届くとは限りません。しかしどうか、今この瞬間に悲しい思いをしている子供たちがたくさんいることを感じ、その子たちの「希望」を自分が支えているのだという気持ちでポッケづくり取り組んで頂けたらうれしいです。
(2007.06.08記載)