News Archive

2007年06月15日 庭野平和財団公開シンポジウム『GNHと仏教』

『GNH(国民総幸福量)と仏教』をテーマにした庭野平和財団の公開シンポジウムが6月15日、大聖ホールで行われ、宗教者や本会職員など約80人が参加しました。

GNHは人間の幸福度を表す指標。近年その意義が注目されています。今回のシンポジウムは、人間の幸福という視点に立ち返ることで、各教団が進める布教活動や諸宗教対話・協力活動などの原点を見直し、それらの活動の連携を深める貴重な機会になりうるとの観点から開かれました。
シンポジウムでは、カルマ・ウラ・ブータン総合研究所所長、西川潤・早稲田大学台湾研究所所長がそれぞれ基調発題を行いました。
ウラ氏は、経済発展の指標であるGNP(国民総生産)と人間の幸福度は必ずしも一致しないと指摘。その理由として、人間は物質的にある程度満たされると、家族や友人など、自分と他者とのつながりを求める点を挙げました。その上で、互いに他者のために行い、精神的に高め合う豊かな人間関係こそ、すべては相互依存の関係にあるという仏教思想に基づいた幸福の概念であると解説しました。
西川氏は、1970年代にGNHの概念が提起されたブータンで、GNHの発展に向けた国家的な取り組みが行われている現状を紹介。その背景には、経済発展のみを追求しないことで、隣国インドの資本や、ネパールの労働力による席捲を防ぐ側面もあると指摘しながら、GNHを求める精神は、同国に浸透する仏教の中道思想に根ざしていることを強調しました。また、社会のさまざまな問題を常にGNHの視点でとらえ、対処する重要性に言及しました。
このあと、戸松義晴・浄土宗総合研究所専門研究員がコーディネーターを務め、会場からの質問を紹介。GNHの測定方法や、GNHを高める具体的な方法などについてウラ氏、西川氏が答えました。

(2007.06.22記載)