中央学術研究所(今井克昌所長)主催による「第8回学術研究大会」が11月11日、行学園およびセレニティホールで行われました。山野井克典理事長はじめ同研究所講師や客員研究員、所員、教団関係者ら137人が参加しました。
第1部は、行学園を会場に「研究発表」が行われました。同研究所員ら12人が立正佼成会史や宗教学、心理学、平和活動ほか多岐にわたる研究成果を発表。『庭野日敬開祖の不軽行』『仏教とカウンセリング――東西思想の邂逅「私も法座主になれる」に関する一考察』などがテーマに上がりました。
セレニティホールで行われた第2部では、木村清孝・国際仏教学大学院大学教授が『仏教の現在と未来』と題して特別講演に立ちました。木村氏は、仏教の教えが日本人に受容されてきた歴史を検証。聖徳太子が著したとされる『三経義疏』に触れながら、一乗思想や在家主義、平等思想が古くから日本人に受け入れられてきた背景を示しました。また、平安時代から室町時代にかけて広まった仏教の「本覚思想」を説明。一切の生きとし生けるものに仏性を認め、神仏の存在を感じ取るという独自の宗教観が形成された経緯を解説しました。
その上で、現代社会における仏教の役割に言及。環境破壊や貧富の格差などを生む価値観に対して、仏教は常に批判的な視点を持ち続けているとし、「個人の『我』を超えた、限りない縁の中で生かされている仏教者として、私たちは現実の諸問題に向き合うべき」と述べました。
また、釈尊が説き示した「不殺生」「不邪淫」などの戒律は単なる社会規範でないと強調。「自らの身を正し、相手を思いやる行動が『戒』であり、その思いやりはすべてのいのちに向けられている」と語りました。最後に、仏教の究極の理想を「仏教者が主体的に行動し、平等な社会を築くこと」と結論づけ、信仰者一人ひとりの社会参画を促しました。
(2007.11.16記載)
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