News Archive

2008年05月08日 庭野平和賞贈呈式

庭野平和財団(庭野日鑛総裁、庭野欽司郎理事長)の「第25回庭野平和賞贈呈式」が5月8日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われました。今回の受賞者はヨルダンのエル・ハッサン・ビン・タラール王子(61)。イスラームからの受賞は第5回の「世界イスラム協議会」に続くもので、個人では初めてとなります。ハッサン王子は中東地域をはじめ世界平和の実現に向け、紛争和解、人権、軍縮、環境など多分野で活動を展開。イスラームの教えと信仰に基づく平和への情熱、国際的なリーダーシップが高く評価され、今回の受賞となりました。当日は、ヨルダンのサミール・ナウリ駐日大使、日宗連(日本宗教連盟)の豊原大成理事=全日本仏教会理事長=はじめ200人の識者、宗教者が見守る中、庭野総裁から正賞として賞状、副賞として顕彰メダル、賞金2000万円(目録)が贈られました。

ハッサン王子は1947年、ヨルダン王室ハシミテ家に生を受けました。イギリスのオックスフォード大学で学士号、修士号を取得。99年まで、故フセイン国王の政治顧問を務めました。
この間、イスラエル・パレスチナの紛争を中心に中東問題にかかわり、正義を伴った平和を主張して、その構築に尽力。「平和とは戦争のない状態ではなく、和解が達成されてこそ実現されるもの」との考えから、民族や宗教、文化などの違いから起こる偏見や憎悪の解消に重要な役割を果たしてきました。
あらゆる人間の尊厳を公平に重視する姿勢は、イスラームの教えと自らの深い信仰が基盤となっています。
国内では70年の「王立科学院」に続き、81年に「アラブ思想フォーラム」を創設。以後、「イスラーム科学アカデミー」「ハシミテ援助・救援局」「アラブ青年フォーラム」などを設立し、学術研究、諸文化間の対話・交流、援助活動などの促進を図りました。
81年、国連による「新国際人道秩序」の作成を提唱。これは「国際人道問題独立委員会」(ICIHI)の設立として実を結び、共同議長を要請されました。同委員会による最終報告書は第42回国連総会で採択されました。
ハッサン王子の活動は人類が直面している地球的諸問題の解決を目指すものです。とりわけ、諸宗教間の対話・協力による平和実現に大きな力を注いできました。
94年、国内に「王立諸宗教研究所」を創設しました。99年にアンマンで行われた第7回WCRP世界大会では、ハッサン王子を中心に王立諸宗教研究所が受け入れを担当。世界69カ国から1000人の諸宗教者が集い、初めてイスラーム圏で開催された大会を成功させました。併せて、大会の席上、WCRP国際委員会実務議長に就任。2006年に京都で開かれた第8回WCRP世界大会まで実務議長として組織を牽引しました。現在は名誉会長の任にあります。また、「ローマクラブ」会長、「大量兵器国際委員会」理事、「核脅威イニシアティブ」理事など数多くの国際組織の要職を務めます。
贈呈式では、庭野平和賞委員会のグナール・スタルセット委員長=ノルウェー国教会オスロ名誉主教=により選考経過が報告されたあと、庭野総裁から賞状と副賞の顕彰メダル、賞金2000万円の目録がハッサン王子に手渡されまなした。
続いて、庭野総裁があいさつ。渡海紀三朗・文部科学大臣(銭谷眞美事務次官代読)と、豊原日宗連理事が祝辞を述べ、ハッサン王子の活動に敬意を表しました。
このあと、ハッサン王子が記念講演に立ち、富の偏在による格差が広がり、戦争の犠牲者が後を絶たない世界の現状を指摘。宗教者をはじめ多くの組織がネットワークを組み、人道主義に基づいた国際的な「平和の法則」づくりを進めていくよう訴えました。
なお、今年、設立30周年を迎えた庭野平和財団ではこのほど、記念の冊子を制作。贈呈式の席上、発刊が報告され、参加者に配布されました。

(2008.05.16記載)