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2009年02月21日 中央学術研究所が加盟する国際宗教研究所が公開シンポジウム

中央学術研究所が賛助会員として加盟する国際宗教研究所主催の公開シンポジウムが2月21日、東京・豊島区の大正大学で開催されました。テーマは『宗教の社会貢献はどうあるべきか--21世紀の課題』。約140人が参加しました。

当日はパネリストとして石上和敬・浄土真宗本願寺派梅上山光明寺住職、賀陽濟・田無神社宮司、本田哲郎・カトリック司祭、宮本けいし・妙智會教団理事長が出席、島薗進・東京大学大学院教授が司会を務めました。パネリストは伝統仏教、神道、キリスト教、新宗教の立場から、社会貢献について報告しました。
石上師は仏教者が行う修行や教義研さん、信者への教化などの伝統的活動は、社会貢献であるものの、一般的にその認識が薄れつつあると説明。目に見える形で利益がもたらされる他の専門職とは異なり、「仏教者の社会貢献を考える上では、慈悲に基づく伝統的活動を再評価すべき」と述べました。
賀陽師は、祭祀などの行事を地域住民と共に行うことで、神社は地域の共同体の中心的役割を果たしていると強調。境内の「鎮守の森」が果たす環境保全や、日本古来の伝統や文化の継承活動を例に挙げ、神社、神道の役割を報告しました。
一方、本田師は、路上生活者支援に携わってきた経験に触れ、人々や社会のニーズに応える貢献の重要性を指摘しました。
宮本師は、同教団の「ありがとう基金」を通して進められている開発途上国や災害地への支援などに触れ、この活動は、仏教の「布施」「慈悲」の精神によるものと説明しました。また、諸宗教協力による活動にも言及し、新宗連(新日本宗教団体連合会)やWCRP(世界宗教者平和会議)の取り組みを紹介。真の平和の実現に向け、「各国政府の指導者や国連機関へ働きかけていく役割が、宗教に期待されている」と語りました。
このあと、稲場圭信・神戸大学大学院准教授、弓山達也・大正大学教授が宗教が担う社会貢献の展望などについて意見を述べました。

(2009.2.27記載)