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2009年03月06日 「一食ユニセフ募金」新たな拠出決まる

街頭募金やチャリティーバザーなどユニセフ(国連児童基金)支援を目的とした「一食(いちじき)ユニセフ募金」が今年も年間を通じ、全国各教会で行われます。さまざまな活動によって市民から寄せられた浄財は、ユニセフ本部(ニューヨーク)を通じて立正佼成会が指定する国や事業に拠出。現在は、アジア4カ国での教育事業を支援しています。これに加え、ユニセフとWCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会による連携事業「紛争後の子どもの保護」への拠出がこのほど決定しました。1990年、ユニセフの要請を受けてWCRPが開催した「子どものための世界宗教者会議」(米国・プリンストン)以降パートナーシップを強化してきた両機関だが、こうした連携事業は初めてです。それぞれの経験、特性を活(い)かした協働に各界から大きな期待が寄せられています。  

本会のユニセフ支援は、1979年の「国際児童年」にスタートしました。以来、毎年「青年の日」を中心に各地で街頭募金やチャリティーバザーなどを実施し、市民にユニセフ支援を呼びかけています。寄せられた浄財の使途は、各国の子どもたちの現状などを踏まえてユニセフと検討した上で、「指定拠出」として事業内容や支援国を選定。今年度分は、アジア4カ国(ネパール、カンボジア、フィリピン、東ティモール)の教育事業に充てられることになっています(3カ年計画)。
これに加え、このほどユニセフとWCRPの連携事業「紛争後の子どもの保護」に新たに拠出されることが決まりました。
両機関は、90年7月の「子どものための世界宗教者会議」(主催・WCRP)、同年9月、ニューヨークの国連本部で開催された「子どものための世界サミット(首脳会議)」をきっかけにパートナーシップを強化。両会議には本会からも庭野日敬開祖(WCRP国際委名誉会長)が出席し、スピーチを行いました。しかしながら、これまでの両者による取り組みは諸宗教指導者による世界の子どもたちのためのアドボカシー(政策提言)、アフリカでのエイズ孤児救済プロジェクトなどに限られていました。
現在、戦争や紛争の影響で、難民、避難民となっている子どもたちは約2000万人、孤児が約100万人、約30万人が兵士として戦場に送られているなど、本来保護されるべき子どもたちの多くが困難な状況に置かれています。
こうした事態を重視したユニセフとWCRP、また両機関と長年にわたって強い協力関係にある本会が対応を協議。子どもたちの保護、地域社会の平和(=子どもたちが健やかに成長する環境づくり)の重要性、緊急性について合意し、このほどの連携事業「紛争後の子どもの保護」の実施を決定しました。
同事業は今後、フィリピン・ミンダナオ、コンゴ民主共和国、スリランカ、イスラエル・パレスチナなど、特に子どもたちが深刻な状況に置かれている国々で実施される予定です。具体的には、各国のユニセフ事務所とWCRPのIRC(現地の諸宗教評議会または国内委員会)が現地に密着したかたちでプロジェクトを立案し、双方の経験や特性を活かした活動を展開することになります。WCRP国際委員会の杉野恭一事務総長補は同事業の実施について、「国内、地域社会に大きな影響力を持つIRCをダイナミックに活用し、子どもたちの保護、救済に取り組もうというのがユニセフとWCRPのパートナーシップの目的」と語り、その成果に期待を寄せています。
同事業の本実施は来年(今年度の「一食ユニセフ募金」の浄財を拠出)になるが、今春からフィリピン・ミンダナオでの試験的な始動が決まっています。同国は本会の「指定拠出」先の一つであることから、昨年度分の浄財の一部が充てられる予定です。
なお、「3カ年計画」としてアジア4カ国で支援している事業内容の詳細(=浄財の使途)は次の通りです。
【ネパール】
「女子教育支援事業」。女子の就学率向上が目標。男女別トイレや給水設備を整えるほか、子どもたち自身による衛生普及活動を支援し、女子が通学しやすい学校づくりを行う。

【カンボジア】
「初等教育支援事業」。農村部では少数民族に対する差別などが原因で初等教育の普及が遅れている。小学校での二言語教育(クメール語と少数民族の母語)を推進し、入学者の増加、中退者の減少を図る。

【フィリピン】
「ストリートチルドレン支援事業」。都市部には24万人を超えるストリートチルドレンが存在する。識字教育や生活技能、保健・医療サービスを提供し、家族や社会への復帰を支援する。

【東ティモール】
「初等教育支援事業」。1999年の独立紛争後、新しい国づくりが進められている。教員の育成、効果的な複式学級(多学年を同時に教えられる教室)の普及などに取り組む。

(2009.3.6記載)