本会と庭野平和財団が加盟するBNN(仏教NGOネットワーク)の「第16回研修セミナー」が3月3日、東京・港区の浄土真宗本願寺派光明寺で行われ、加盟団体から32人が参加しました。BNNでは、仏教者共通の概念である『三毒--怒り、無知、貪(むさぼ)り』をテーマに現在の国際問題や社会問題について学ぶ人材育成プログラムを実施しています。同プログラム二回目の今回は、『無知』をテーマに行われました。
第一部では『私たちの日常生活を動かしているメカニズム』をテーマに、未来バンク事業組合の田中優理事長が講演。地球温暖化、各地で続く戦争という二つの問題が、日本人の生活や経済活動と深くつながっていることを報告しました。
温暖化については、発電によって大量の二酸化炭素が排出されている状況に触れ、化石燃料への依存から、地熱や風力などの自然エネルギーの利用に転換していくことが急務と強調。これは、原油の高騰に伴う景気後退にも対応するものと語りました。
一方、戦争に関しては、郵便貯金や銀行預金の一部が米国の国債の購入に充てられ、間接的にイラク戦争など米軍の軍事費となっている現状を指摘。自らの預金がどのように使われているかを注視する大切さに触れ、「お金(の流れ)を変えていかない限り、社会を改善していくことはできない」と述べました。
その上で、福祉の充実や環境保護などの取り組みを促進する事業に、融資を行ってきた「未来バンク」の活動を紹介。日本で都市と地方との格差が拡大している状況にも言及し、「買う」「働く」「貯金する」という経済活動に対して意識を深め、「お金」を通して、社会のあり方や、地域内で経済が循環する仕組みを考えていくよう訴えました。
第二部の『社会から求められる第三セクターとしての仏教者の社会的役割を具体的に考えるワークショップ』では、田中理事長が進行役(ファシリテーター)を務め、参加者は5グループに分かれ、討議。社会での寺院や各教団の役割について意見を交わしました。
第三部では、浄土真宗本願寺派万行寺の本多静芳住職が講演。これまでの講演などを踏まえ仏教の観点から、自らの生活や行動を見つめ、内省していくことが重要と述べました。
(2009.3.13記載)
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