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2009年04月21日 WCRP日本委がシンポジウム

『イスラエル・パレスチナにおける和解の取り組み~宗教者による貢献の可能性』と題するWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催のシンポジウムが4月21日、大聖ホールで行われ、宗教者ら90人が参加しました。

当日は、ノーベル平和賞の推薦を受けたこともあるイスラエル人の人類学者で、ICAHD(家屋破壊に反対するイスラエル委員会)のコーディネーターを務めるジェフ・ハーバー博士と、イスラエル国籍のパレスチナ人で聖公会牧師のナイム・アティーク師が基調発題を行いました。
ハーバー博士は、1956年の第二次中東戦争以後、イスラエル軍によって2万4000軒のパレスチナ人家屋が破壊され、現在はイスラエルが、国家建設前に「パレスチナ」と言われた全土の78%を支配していると指摘しました。共存が望まれるものの、現実には今もユダヤ人の入植が進められ、分離壁が築かれてパレスチナ人の生活が制限されるなど、パレスチナを封じ込める占領政策が排他主義に基づいて続けられていると説明。諸宗教者は「イスラエルの占領政策に対して、はっきりと『ノー』と言わなければならない」と訴えました。
一方、アティーク師はユダヤ人によって故郷を追われ、村全体が難民となった子供期の体験に触れたあと、ヨーロッパで迫害を受けたユダヤ人が自らの国家を建設しようと進めたシオニズム運動に言及。当初は国家建設という政治的、世俗的運動だったが、現在は「この地は神がイスラエルに与えたもの」との言葉が繰り返され、宗教的なものになっていると解説しました。
その上で、宗教が政治に利用され、問題の一部となっていると指摘。ユダヤ教だけでなく、キリスト教も含めた神学の問題であるとして、自らが理事長を務める「サビール・エキュメニカル解放神学センター」で聖書の理解やパレスチナ人の解放の神学について学びを深めていると報告しました。また、平和実現に向けた宗教の役割に触れ、「宗教指導者は大きく、根の深い問題にこそ、明確に声を挙げていくべき」と述べました。
このあとのディスカッションではパネリストとして「パレスチナ子どものキャンペーン」の田中好子事務局長、日本国際ボランティアセンター・パレスチナ事業担当の藤屋リカ氏、大本イスラエル・パレスチナ平和研究所の矢野裕巳常務理事、立正佼成会一食平和基金運営委員会の保科和市事務局長が出席。同日本委平和研究所の眞田芳憲所長をコーディネーターに、中東の和解について意見が交わされました。

(2009.5.8記載)