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2009年06月27日 中央学術研究所が「第18回講師研究会」

『地元学から何を学ぶか--教会現場での活(い)かし方』をテーマに中央学術研究所の「第18回講師研究会」が6月27日午後、セレニティホール、佼成行学園で開催されました。同研究所の講師、客員研究員をはじめ、教団役職者ら157人が参加しました。 

当日は、篠崎友伸所長のあいさつに続き、大阪大学人間科学研究科の草郷孝好准教授が『GNH(国民総幸福)の実践手法:「地元学」から何を学ぶか。』と題して基調講演。第二次世界大戦後、経済中心の発展を遂げた日本は「物質的豊かさ」を実現し、GDP(国内総生産)や就学率、医療は飛躍的に向上、改善されたと説明しました。一方、1984年をピークに日本人の「生活実感」に対する満足度は低下していると指摘し、物質的、経済的豊かさの追求が人々の満足や幸福につながらないことを明示。新たな豊かさの基準としてブータンが提唱する「GNH(国民総幸福量)」の概念に言及し、自然環境との共生や心身の健康などに配慮した発展のあり方を説明しました。
その上で、実践例として熊本県水俣市で地域再生を目指して進められてきた「地元学」を紹介。地元のよさを発見し、住民の自信につなげている「村まるごと博物館」といった事業に触れ、「地元学とは楽しく前向きに、自分たちの生活する空間をつくっていこうという手法です。地元学を取り入れた地域では、生活の当事者である住民が他者や自然との共生を見据えることで、豊かさや希望を実感できるようになっています」と話しました。また、「現代は個性の時代といわれています。しかし結果的には、孤立の時代ではないでしょうか。互いに助け合うことが私たちの生き方にどんなに大切であるかを素直に再確認し、共生、協働していく関係性の確保に再び取り組むことが重要」と訴えました。
次いで、地元学実践者の冨吉正一郎氏、WWB(女性のための世界銀行)ジャパン代表の奥谷京子氏、山形県庄内地区明社推進協議会会長の石原純一荘内神社宮司が登壇。共生や豊かな社会を目指す自らの取り組みに触れ、コメントを発表しました。
このあと、参加者は4グループに分かれて討議。続く全体会議では、草郷、冨吉、奥谷、石原の4氏が再登壇し、東京大学大学院工学系研究科の小池俊雄教授をコーディネーターに、地元学という概念を一人ひとりが今後どう活かしていくかなどについて議論を重ねました。

(2009.7.3記載)