WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会開発・環境委員会(委員長・田中庸仁真生会会長)による学習会が10月28日、神戸市の長田神社参集殿で行われ、同委員ら23人が参加しました。
当日は、同神社の藤原正克宮司、田中委員長のあいさつのあと、『地球環境問題と宗教の可能性』をテーマに兵庫県立大学環境人間学部の岡田真美子教授による講演が行われました。
この中で、岡田氏は、地球環境問題には各国の協力が重要であり、1972年のストックホルム国連人間環境会議以来、国際的に議論が重ねられてきたことを紹介。この間、同問題は現実的解決を目指す国際政治問題として扱われ、「先進国が享受している現在の生活レベルや社会制度を大きく変更しないことが前提となっています」と述べました。
一方、現在の環境問題は一人ひとりの生活のあり方と結びついているため、国家や国際的政策だけでは解決せず、個人の生き方に深くかかわる内的な価値基準の見直しが必要と強調。その上で、心の最奥に働きかける宗教の役割に触れ、「好きなだけ享受することが幸せ」とする消費文化から、「少欲知足」に基づく「腹八分目の幸せ」への価値観の転換が不可欠と力説しました。
また、20世紀には、大量のエネルギーを消費する先進国をものさしとし、基準に達していない状態を「貧困」「低開発」「発展途上」という言葉で表現してきたと説明しました。
さらに、現代の若者には「質素」を貧しさの表れとして考えている人もおり、消費文化の中では「質素という文化も、欠乏を埋めるべき状態としてとらえられてしまう」と指摘。「困窮とは、持ち物やお金の少なさによって起こるのではなく、自然や人とのつながりが奪われ、破壊されることによって起こります。21世紀は、所得や持ち物の量から、アジアの地域文化に根ざした関係性や絆の質に豊かさの尺度を求めていくべき」と訴えました。
(2009.11.06記載)
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