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2009年11月08日 中央学術研究所が「第10回学術研究大会」

中央学術研究所主催による「第10回学術研究大会」が11月8日、行学園とセレニティホールを会場に行われました。同研究所講師や客員研究員、所員、教団関係者ら85人が参加しました。

第1部では、同研究所員ら8人が行学園で研究発表を行いました。所員らは、『法華経における根源的概念についての一考察』『仏性礼拝のための助行(方便)について』などをテーマに研究成果を発表。また、環境問題や立正佼成会の布教組織の変遷など多岐にわたる学術研究が紹介されました。
セレニティホールで行われた第2部では、早稲田大学名誉教授の嵯峨座晴夫氏が『少子高齢化の文明史的考察』と題して特別講演に立ちました。
嵯峨座氏は冒頭、紀元前から現代までの世界人口の推移を紹介し、医療技術の向上など近代文明の発達が平均寿命を延ばし、高齢化社会を構築する要因になっていると指摘しました。
さらに、経済発展が出生率と死亡率に与える影響を考察した人口転換理論に言及。先進国の人口構造が、多くの人手を必要としていた伝統的な農耕社会の多産多死型から、機械化が進み少ない人口で社会生活を営むことができる少産少死型に変化したと解説しました。その上で、現在の医療保険や年金制度が人口の増加していた時代につくられ、一定の出生率を前提としていると説明。長期的な視点で少子化に伴う対策を講じる必要があるとの見解を示しました。
また、人間が老いることを医学や福祉だけでなく経済学や社会学などの多角的な視点で考察する「老齢学」を紹介。豊富な人生経験を持つといった高齢者の長所を積極的に社会に生かし、「お年寄りが生きがいを持てるような社会の構築が、少子高齢化を乗り越える新たな文化をつくり出すのではないか」と述べました。

(2009.11.13記載)