News Archive

2009年11月13日 中央学術研究所が設立40周年

立正佼成会の中央学術研究所が今年、設立から40周年を迎えました。当初から学際的な学術研究所としてつくられ、現在は人材育成機関である学林の中に位置づけられています。これまで、国内外の諸問題に対する宗教の役割など社会貢献、世界平和を念頭に置いた研究が進められてきました。近年は各教団に付置された研究所と交流を深め、学術的な宗教協力にもあたっています。11月8日、行学園とセレニティホールで「第10回学術研究大会」が開催され、終了後には講師や客員研究員の学識研究者を迎えて懇親会が行われました。来年には40周年を記念し、研究成果に基づく書籍の発刊が予定されています。 

中央学術研究所は1969年、「広く思想、文化、科学などの関連のもとに、宗教、特に仏教を研究し、もって有能な人材を育成し、人類の文化と世界平和への寄与」を目的に「佼成学術研究所」として設立されました。仏教学や宗教学をはじめ、政治、経済、科学、医療などの学識経験者の協力を得て、学際的な研究活動が進められてきました。
当初は、仏教の教理、諸宗教の儀礼、布教などに関する研究が行われ、『21世紀への道』『宗教と政治』『コンピューター時代の人間の動向について』などをテーマに公開講座やシンポジウムが開催されました。講義録や論文をまとめた刊行物、書籍も出版されました。
71年に「中央学術研究所」に名称を変更。77年に「佼成教団史研究」「佼成教学の確立の研究」が始まり、翌年、「第1回法話選集編纂(へんさん)委員会」が行われました。多くの学識経験者の協力による研究成果をもとに、78年から『庭野日敬法話選集』が、83年から『立正佼成会史』が刊行されました。
87年からは、その2年前に厚生省から脳死判定基準が示されたのを受け、生命倫理に関する基礎研究を開始しました。91年、生命倫理問題研究会を設置し、政府の臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)に『脳死・臓器移植問題に関する意見』を提出。94年には同研究会名で『「臓器の移植に関する法律案」に対する見解書』を公表し、国会議員に配布しました。以後、臓器移植やクローン技術に関して教団見解の土台となる研究に取り組んできました。
近年は、「新しい時代の法座研究」「新しい家族像」など教団の要請に基づく12の調査研究に取り組むほか、森章司東洋大学名誉教授による「釈尊伝」の研究が進められています。一方、各教団に付置された研究所が加盟し、2002年に設立された「教団付置研究所懇話会」の発足に尽力。同懇話会を通じての情報交換や共同研究を通して、現代の諸課題の解決に力を注いでいます。
今年12月には、シリーズ名を「アーユスの森」とする新書(市販)書籍の刊行を予定。来年には、30周年で出版された『共生と平和の生き方を求めて--法華経からのメッセージ』に続き、40周年記念の書籍が発刊されます。

設立の意義をかみしめて

中央学術研究所所長 篠崎友伸

開祖さまは、研究が本会のためだけであってはならず、より広く社会や世界の平和、人類の文化の発展に貢献してほしいとの願いから「中央」という名称を付けられました。また、宗教者が偏狭な見方、考え方に陥っては人々の救済、世界の平和は望むべくもないため、さまざまな分野の学識経験者に協力を仰ぐことを方針とされました。
ここに、開祖さまの「一乗の精神」を改めてかみしめさせて頂きます。同時に、中央学術研究所の講師、客員研究員として多くの学識経験者の先生方が本会の研究にご尽力くださったことに感謝申し上げます。
戦後の日本は物質的な豊かさを求め邁進(まいしん)してきました。しかし、今、多くの人が真の豊かさについて考え、質の高い人生や生活、地域の活性化、自然環境との共生などを考慮した新しい生き方を求めています。生きがいのある社会の形成を目指し、生命を脅かす諸問題の解決に貢献できる研究や取り組みを進めていければと願っております。
現在は研究者や識者として活躍する会員のネットワークづくりに努め、各教団の研究所と交流を深めています。こうした活動を生かし、今年12月に新書シリーズ、来年には40周年記念書籍の発刊を企画しています。活動や研究の成果を社会に発信していくことに力を注いでまいります。

(2009.11.13記載)