『貧困の削減』をメーンテーマに庭野平和財団が進める南アジアプログラムの2010年度のプロジェクトがインド、バングラデシュで実施されることになりました。先ごろ、両国で行われた各諮問委員会には、現地の諮問委員に加え、プログラムオフィサーを務める同財団のスタッフが出席。席上、来年度のプロジェクトの年間テーマが検討され、インドは『食の安全保障--社会的に弱い立場にある女性と子供たちのために』に決定しました。バングラデシュは『疎外され最貧困にあえぐ人々の生活支援』に決まりました。
同プログラムによるインドへの支援は来年度で7年目を迎えます。毎年、年間テーマを設定し、現地NGO(非政府機関)と協働してプロジェクトを実施。1プロジェクトは3年を目安とされています。
インドでは、女性軽視の風潮や子供の権利に対する認識が高くない地域があり、それが貧困問題と結びついているといわれます。また、近年は自然災害や環境破壊、さらに政策の不備、食料の高騰などによって食料を手にできない人々の環境悪化が指摘されています。
こうした実情を踏まえ、来年度は、これまで社会的差別を受けてきた指定カーストや指定部族、貧しさから抜け出せない村落共同体の女性や子供たちに対し、技術習得や能力向上の機会を提供。権利の回復を進めるとともに、食料の生産や入手の手段をもたらす支援を実施します。
一方、バングラデシュへの支援は05年度、07年度にスタートしたプロジェクトに続くものです。同国では、社会的支援やサービス、またはさまざまな援助が行き届かず、隔絶された状態で暮らしている貧困者が少なくありません。来年度はジェンダーや民族的な見地などによる特定はせず、社会的支援や援助が届かずに最貧困の状態に置かれた人々をサポートし、生活向上に向けた取り組みを行う予定です。
今後は現地のNGOへの調査が行われ、その報告をもとに選考委員会で支援先が決定されます。
(2009.11.20記載)
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