「立正佼成会 モンゴル看護師育成支援プロジェクト」の調印式が平成21年12月22日、プロジェクトのパートナーであるモンゴル・ウランバートル市のモンゴル国立健康科学大学で行われました。立正佼成会から渡邊恭位理事長、神保好夫佼成看護専門学校校長が出席、モンゴルからオトゴンバヤル・ヨンドン教育文化科学大臣、ハグワスレン・ツェレンフー同大学学長らが式に臨みました。(佼成新聞・鈴木章郎記者)
「立正佼成会 モンゴル看護師育成支援プロジェクト」は、モンゴル医療の発展に貢献することを目的に、看護師を志すモンゴル人留学生を立正佼成会が受け入れ、育成するもの。毎年、モンゴル国立健康科学大学の学生(上限3人)が佼成看護専門学校に入学し、3年間、看護基礎教育を学び、日本の正式な看護師国家資格の取得を目指します。資格取得者は佼成病院などで最高5年間の実務経験を積んだあと、モンゴルで主に看護学の人材教育を担うことになります。
国民の平均寿命が比較的短いモンゴルでは現在、国家レベルで医療の発展に力を注いでいます。また、モンゴルでは日本への関心が高く、日本への留学生も年々増えつつあります。そうした中、今回のプロジェクトには現地でも大きな期待が寄せられています。 プロジェクトは平成21年6月、酒井教雄本会顧問がモンゴルを訪れ、エンフバヤル・ナンバーリン大統領、オトゴンバヤル教育文化科学大臣らと面会した際、人材育成や交流の分野で協力を要請されたことが直接のきっかけとなりました。佼成看護専門学校も以前から外国人枠での学生の受け入れを検討しており、本格的なプロジェクト化が進められました。
プロジェクトのパートナーには、医科大学では国内随一の規模と実績を持つモンゴル国立健康科学大学がモンゴル政府から推薦され、その後、同政府、同大学、本会、佼成看護専門学校の間で調整が重ねられ、今回の合意に至りました。同政府と緊密な関係を結ぶ上で、モンゴル立正佼成会の会員の人脈も大きな力となりました。
12月22日、同大学で行われた調印式には、渡邊理事長、神保校長、オトゴンバヤル大臣、ハグワスレン学長はじめ同大学関係者が多数出席。ハグワスレン学長に続いてあいさつした渡邊理事長は、すべての人を救う法華経の教えに基づいて庭野日敬開祖が佼成看護専門学校を設立した経緯に触れ、「このプロジェクトも法華経の考え方に基づくもの。看護学校を卒業した看護師がモンゴルの医療に貢献されることは、まさしく庭野開祖の願いであります」と述べました。その上で、プロジェクトを通じて両国民の絆(きずな)が強まることに期待を寄せました。
次いで、オトゴンバヤル大臣があいさつし、「今日は両国の関係に新たなページを刻む大切な一日となった。モンゴルの看護学生たちが日本で医療技術を学び、世界基準に達することは、国の教育分野にとっても大きな貢献となるだろう」と述べました。
このあと、渡邊理事長、神保校長、オトゴンバヤル大臣、ハグワスレン学長の4人がプロジェクトの合意書に調印しました。調印式の模様は現地のメディアでも大きく報道されました。
これに先立つ同21日には、同大学看護学部で神保校長によるプロジェクトの説明会が行われ、同学部の学生約250人が参加しました。
今後、同大学でプロジェクトの募集が行われ、学内審査の後、9月を目途(めど)に現地で入学試験が行われ、合格者が来年4月、佼成看護専門学校に入学します。
渡邊理事長、大統領府長官を表敬訪問
渡邊恭位理事長は12月23日、モンゴル国会議事堂にドルリグジャブ・ダンビン大統領府長官を表敬訪問し、約20分間懇談しました。神保好夫佼成看護専門学校校長、ツェレンジェ・ツェネン・モンゴル立正佼成会法人理事長らが同席しました。前日、モンゴル国立健康科学大学で調印された「立正佼成会 モンゴル看護師育成支援プロジェクト」の報告に訪れたもの。
懇談の中で渡邊理事長は、モンゴルのオトゴンバヤル・ヨンドン教育文化科学大臣臨席のもとプロジェクトの調印式が滞りなく行われたことに謝意を伝えたあと、プロジェクトの概要について説明しました。
これに対しドルリグジャブ長官は、モンゴルと日本の関係はここ20年ほどの間に緊密さを増してきたと説明。「政府レベルだけでなく、このような民間の交流が何より大事です」と述べ、プロジェクトの成功に期待を寄せました。
懇談ではまた、氷点下20度を下回るモンゴルの冬の気温に話題が及び、モンゴル初訪問の渡邊理事長は、「外は寒いですが、モンゴルの人は皆、とても温かいのだと非常に強く感じました」と話し、場を和ませました。
(2010.1.15記載)