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2010年02月05日 庭野会長、マヒドン大学で仏教観に基づく生き方を講演

タイを訪れていた庭野日鑛会長は2月5日、首都バンコクに隣接するナコン・パトム県にあるマヒドン大学の宗教学カレッジで学生や僧侶約300人を前に講演しました。同カレッジの責任者であるピニット・ラタナクン博士の招聘(しょうへい)によるもの。佳重夫人が同行し、沼田雄司教務局長が随行しました。庭野会長は、『人間を人間たらしめるもの』をテーマに、現代社会の問題を指摘し、仏教観に基づいた人間存在やいのちのとらえ方を説きました。

講演会は、同カレッジ講堂で開催され、同大学のピヤサコーン・サコンサタヤトーン学長のあいさつに続き、庭野会長が『人間を人間たらしめるもの──消費社会における釈尊の教え』と題し、講演しました。
庭野会長は、タイ社会の経済成長に触れ、物質文明、経済至上主義の弊害を指摘し、仏教に照らして人間存在やいのちのとらえ方に言及。いくつかの文献を引用しながら、人間が「人と人の間」に生きていること、あらゆる食材から宇宙のいのちを摂取し成長していることなどを解説しました。
その上で、『四法印』『無財の七施』『十善戒』など仏教の真理、法門に基づいた生き方の重要性を強調。さらに、現代では特に、やさしさ、あたたかさ、明るさを子供に伝える母性を見直す必要があると説き、「人間を人間たらしめる一番大事なポイントは、母親のやさしさとあたたかさと明るさにあり、そのような母親に育てられた人間が、これからの21世紀を背負って立っていくのではないかと思います」と講演を結びました。
マヒドン大学は、同国内で代表的な国立の総合大学の一つ。宗教学カレッジは上座部仏教、大乗仏教をはじめとする諸宗教の総合教育機関として、宗教間の相互理解、協力、尊重に資することを目的に1999年に創立されました。
立正佼成会との関係は、バンコク支部(当時)会員との交流を端緒に、2001年にピニット博士はじめ同カレッジの学生が本会の受け入れで来日し、日本の宗教事情などを視察したことに始まります。その後も学生の来会、生誕地道場訪問、本会会員宅でのホームステイなど交流を重ね、08年6月に篠崎友伸学林学長が同カレッジで「法華経集中講義」を行いました。また、同12月には『消費文化の時代における仏教』をテーマに同カレッジで開催された国際会議で、長谷川泰弘バンコク教会長が庭野会長のメッセージを代読しました。
ピニット博士は、庭野日敬開祖の著作に触れて以来、本会に強い関心を持ち、今回の講演は、庭野会長のタイ訪問に際し、同博士の招聘により実現しました。

(2010.2.12記載)