エジプトのグランド・ムフティ(イスラーム最高指導者)であるアリ・ゴマア師が来日し、東京・新宿のホテルで3月9日、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会理事長の庭野日鑛会長をはじめ8人のメンバーと懇談しました。日本の宗教に深い関心を持つゴマア師の依頼により実現したもの。懇談は2部構成に分かれ、はじめに庭野会長と、次に関東近郊の役員を中心とするメンバーと、それぞれ行われました。両懇談には、駐日エジプト大使のワリード・アブデルナーセル氏、同日本委評議員の徳増公明師(日本ムスリム協会会長)、川端健之総務局長が同席しました。
ゴマア師は1952年、エジプト生まれ。88年、アズハル大学イスラーム学博士号を取得、2003年に、イスラーム法学の最高権威であるグランド・ムフティに選出されました。
庭野会長との懇談では、ゴマア師が「キリスト教とイスラーム、東洋の宗教も含めた宗教者同士の直接対話が平和の構築には必要。共通項の発見を目指したい」と、諸宗教間の対話促進、平和構築に対する協力に積極的な姿勢を表しました。
発言を受け、庭野会長は、同日本委による諸宗教の協力関係を示しながら、「少しでも平和のために貢献できるように取り組ませて頂いています」と話し、昨年11月に東京で行われた「アフガニスタンの和解と平和のための円卓会議」などの活動を紹介しました。
また、ゴマア師は、ムスリムと日本の諸宗教者が理解し合うための、文献の交互提供を提案。「われわれにとっても、子供の将来にとっても、より明るい将来を提供していくために、身近な交流を広げていきたい」と話しました。
続いて行われた同日本委メンバーとの懇談は、宮本けいし事務総長(妙智會教団理事長)が、WCRPの歴史と同日本委の活動を紹介したあと、メンバーからの質問にゴマア師が答える形で進められました。
この中でゴマア師は、青年をめぐる宗教事情について、イスラーム穏健派が他の宗教を認めている点を説明しながら、「穏健派のビジョンが平和には大事だ。それが若者をひきつけている」と話しました。
(2010.3.19記載)
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