WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は7月21日、WCRP創設40周年記念行事の一つとして、『核兵器のない世界をめざして~NPT再検討会議、ARMS DOWN!から~』をテーマに「第37回平和のための宗教者研究集会」を行いました。会場となった「JICA地球ひろば」講堂(東京・渋谷)には同役員、賛助会員、関係者ら150人が集いました。
同集会は、5月に米国・ニューヨークの国連本部でNPT(核不拡散条約)再検討会議が開催されたこと、また現在、世界の青年宗教者によって「ARMS DOWN!」が展開されていることを受け、核廃絶に向けた宗教者の役割を改めて確認する目的で実施されました。
「平和の祈り」で開会。主催者を代表して、宮本けいし事務総長(妙智會教団理事長)があいさつに立ち、WCRPが創設当初から非武装、核廃絶に力を注いでいることを強調。また、今年9月に実施される奈良、京都での40周年記念行事に触れ、「日本の和の精神を世界に発信し、多様性の尊重や、異文化間の相互理解を深めていく機縁とさせて頂きたい」と語りました。
次いで、同日本委員会から、40周年記念行事、現在、世界の青年が実施している「ARMS DOWN!」の概要や現状、さらに5月、ニューヨークの国連本部で行われたNPT(核不拡散条約)再検討会議でのWCRPの取り組みが報告されました。
基調講演では、特定非営利活動法人ピースデポ特別顧問・梅林宏道氏、中国新聞社ヒロシマ平和メディアセンター長兼特別編集委員・田城明氏が登壇しました。
梅林氏は、長年にわたりNGO(非政府機関)として核兵器の問題に取り組んできた経験を踏まえ、今回のNPT再検討会議を総括しました。昨春、オバマ米大統領がプラハで「核なき世界を目指す」という演説を行ったことなどを挙げ、同会議が"追い風"の中で開催されたと解説。最終文書に、核兵器のない世界を実現し、維持するために「核兵器禁止条約」など法的枠組みが必要であることや、国際人道法の順守の必要性が盛り込まれたことを「NPT史上初の成果」と語りました。その上で、「ARMS DOWN!」に触れながら、貧困や病気、気候変動などの地球的課題を挙げ、「核兵器が共生社会を実現する大きな障害になっている」と強調。宗教者の取り組みに期待を寄せました。
メディアの立場から発言した中国新聞社の田城氏は、「被爆新聞社の役割」として核兵器のない世界を実現するため、日々情報発信に取り組んでいることを報告。さらに、テロに対する報復など"暴力"の元となるのは、心の問題が大きいと指摘し、宗教者が宗教宗派を超えて国際的に協働すること、平和の実現に向けてさまざまな問題に取り組む大切さを強調しました。
続いて、WCRP国際軍縮安全保障常設委員会委員長の杉谷義純師(天台宗東叡山寛永寺円珠院住職)が登壇し、梅林、田城両氏とともにパネルディスカッションが行われました。
杉谷師は、NPT再検討会議への参加を報告する中で、自身の提言の一部が合意書に反映されたことに触れながら、「核廃絶を決してあきらめてはいけない」と発言。何よりも宗教者が核の存在を許さないという視点を持つ重要性を語るとともに、皆が共に幸せであるにはどうしたらよいかという日々の生活、実践が核廃絶につながっていると説きました。
このほか各パネリストからは核廃絶に向け、「声」や「行動」を発信する大切さが繰り返し指摘されました。コーディネーターは、神谷昌道・立正佼成会ニューヨーク教会長が務めました。
(2010.7.30記載)
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