庭野日鑛会長は7月17日から同30日まで、欧州(ノルウェー、スイス)を訪れました。ノルウェーでは、同国国教会オスロ名誉主教で欧州諸宗教指導者評議会(ECRL)議長のグナール・スタルセット師と再会し親交を深めました。同師は、庭野平和財団の平和賞委員長を2003年から昨年まで3期6年務めた人物。そのことに改めて感謝を伝え、旧交を温めるための訪問で、庭野会長にとってノルウェーは初めての渡航となりました。29年ぶりのスイス・チューリヒでは、欧州の会員らと交流しました。佳重夫人が同行、川端健之総務局長らが随行しました。
スタルセット師と旧交を温め懇談
庭野日鑛会長は7月19、20の両日、ノルウェー国教会オスロ名誉主教で欧州諸宗教指導者評議会(ECRL)議長のグナール・スタルセット師と、ノルウェー・オスロ市内のホテルで懇談しました。佳重夫人、ECRL事務総長のヴェビョルン・ホースフィルド師、川端健之総務局長らが同席しました。
19日の懇談で、ノーベル委員会(同平和賞を選考・決定する)メンバーでもあったスタルセット師は、同賞授賞式の前後に行われる各種イベントが、平和を考える格好の機会となっていることなどを紹介しました。
翌20日の懇談では、同師が、移民の増加に伴ってムスリムが増加し、欧州各国のキリスト教信徒の間に、イスラームへの偏見が広がっている現状を紹介。「寛容、信教・表現の自由について、欧州各国と世界のレベルで同時に取り組む必要がある」と指摘しました。
また、同師は、アジアにおける北朝鮮の宗教者との対話の可能性について言及。庭野会長は「国交がないので難しい面もある」としながらも、中国、韓国を含めた4カ国会合の機会を模索するWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会青年部会の取り組みを紹介しました。
懇談では特に、スタルセット師が「核の廃止に向け、WCRPで取り組んでいく必要がある」と、平和に対する強い願いを表明。「日本は核を経験した国として重要な役割がある」と話しました。
ノーベル研究所、平和センターを見学
同19日の懇談後、庭野会長はスタルセット師らの案内でオスロ市内にある「ノルウェー・ノーベル研究所」を見学しました。
ノーベル平和賞は、人類、国家間の友好や軍縮に貢献した者、平和会議の創立・開催・発展に貢献した者に授与されます。初回の1901年からオバマ米国大統領が受賞した昨年までに、116個人・団体が受賞しました。
庭野会長は、同研究所内のノーベル委員会特別会議室で、同委員会メンバーだったスタルセット師から説明を受け、「賞には、平和になってほしいという願いもあるのでしょう」と質問。スタルセット師は、「その通りです。賞には、成し遂げられたことに対する称賛、未来への期待、受賞者への支援という側面があります」と答えました。
このあと、庭野会長は「ノーベル平和センター」を見学。また、前日18日には、毎年12月に授賞式が行われるオスロ市庁舎を訪れました。
オスロ主教公邸で宗教者らと交流
庭野会長、佳重夫人はじめ川端局長ら一行は19日午後、オスロ主教代理のオラヴ・ダーグ・ハウゲ首席司祭からの招待を受け、オスロ大聖堂に礼拝したあと、オスロ主教公邸での晩さん会に参加しました。
スタルセット師とハウゲ首席司祭らの案内で向かった公邸には、ディアコーニヤンメ大学学長のチェル・ノールストッケ博士、ノルウェー王室宮内庁官で前駐日ノルウェー大使のオーゲ・バーンハルト・グルットレ閣下、カトリック・オスロ司教代理のペー・クヴァールネ神父らが同席、両国から総勢16人が集まりました。
クヴァールネ神父は、立正佼成会とカトリックの関係がローマ教皇パウロ六世と庭野日敬開祖の出会いから始まったことに触れながら、キリスト教と仏教の共通点に言及。「それは、一人ひとりが自立して、他に慈悲をもって生きること。そして、すべてのものにいのちがあるという考え方は、仏教から学んだ比較的新しい価値観です」と話しました。
また、立正佼成会大聖堂を訪問したことがあるというノールストッケ博士は、本会の印象を「日常をダイナミックに変えていく運動体であり、核廃絶など大切なことにかかわっている」と説明。「現代社会では、宗教全体が人間の根源的な価値観を守っていかなければなりません」と熱く語りました。
庭野会長は最後にあいさつし、「宗教協力を通じて、人類の抱える共通課題に対して、皆さまと共に協働したい」と述べました。
スイス・チューリヒでも意見を交換
スイス・チューリヒを訪れた庭野会長ら一行は同25日、同市内のホテルで、欧州の会員、法座などに参加したことのある人々との交流夕食会に参加しました。夕食会では、身の回りで起きた出来事を、仏教ではどのように受けとめるかなどが話題となりました。
参加者の一人は、同席したAさんと話す中で、「魂の喜びをつかんで頂きたい」との願いを自覚。「会長先生から教えて頂いたゲーテの言葉のように、星辰のごとく急がず、しかし休まず、頑張ります」と布教伝道の意気込みを語りました。
(2010.8.6記載)