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2010年07月31日 食研修ツアー一行、スリランカで紛争避難民支援事業を視察

「一食研修ツアー~スリランカ 紛争避難民支援事業」(団長=庭野暢義藤枝教会長)の一行12人が、7月31日から8月7日まで現地を訪れました。一行は、同国東部のバティカロア県で立正佼成会一食平和基金と特定非営利活動法人「ジェン」が合同で進める「紛争避難民支援事業」を視察。同事業の一環として帰還民の生活向上のために実施されている農業支援のプロジェクトに現地の人々と共に取り組みました。同ツアーの内容や現地の様子を紹介します。

7月31日に日本を出発した一行は、約15時間かけてスリランカ東部のバティカロア県に到着しました。
同国では、民族紛争が2009年まで約30年間続きました。また、この間、04年にはスマトラ沖地震による津波で多くの人々が甚大な被害を受けました。情勢が安定した現在、紛争と津波のため避難していた人々が避難所から故郷へと帰還を始めています。しかし、家や農具などを失い、厳しい生活が続いています。
立正佼成会一食平和基金は、ジェンと合同で04年から同県などで「紛争避難民支援事業」を実施。野菜栽培や魚網作りなどのプロジェクトを通し、帰還民の自立をサポートします。加えて、08年に激化した北部での内戦から難を逃れ、依然として避難所生活を送る人々に対し食料やシェルターキットの配布などを行っています。
8月2日、一行は最初の訪問先である同県のワダムナイ村を訪れました。車を降りると、村人がハイビスカスの花を手渡し、一行を歓迎。会員たちは、「一食を捧げる運動」や「一食研修ツアー」の趣旨を村人に説明しました。
このあと、持続可能な食料生産を目指して行われている農業支援のプロジェクトに参加。最貧層の村人宅を訪問し、ボランティア活動に取り組みました。
一行が訪れた家庭は、紛争で働き手である夫を亡くした女性が、母と娘を養っていました。月収は農業によって得られる1500ルピー(約2700円)ほどで、不作の時はほとんど収入がなく、厳しい生活を強いられています。一行は、村人と共に広さ約16平方メートルの土地を耕作。トマトやオクラなどの苗や種を畑に植えました。
ジェンのフィールドオフィサーを務めるペリヤタンビ・ナガラージャさん(34)は、「率先して農作業を行い、思いやりの心で触れ合う皆さんの姿は、村人にとって大きな励みになりました。復興に向けて活気が出ると思います」と語りました。
3日、一行はクドゥンミマライ村を訪問。村人と共に家庭菜園づくりを体験し、土地の開墾や防虫剤の製作などに取り組みました。
4日には、08年から2年間にわたり漁業復帰支援プロジェクトが行われたワハネリ村を訪れました。ここでは、村人に魚網作りや漁業共同組合の運営に関する教育などが提供されました。漁獲量の大幅な増加により村人の収入は倍増し、安定した生活を送れるようになったといいます。一行は、同プロジェクトで寄贈された漁業用のカヌーや市場などに使用される集会所を見学し、取り組みや成果を視察しました。
参加者の一人は、「一食運動による支援が、『村人と共に生きる』という信念を基に行われていると感じました。帰国後は、運動に込められた思いが現地の人々に確実に届いていることを多くの人に伝えたい」と語りました。

(2010.9.10記載)