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2010年09月10日 創設40周年を迎えたWCRP

9月下旬、京都、奈良でWCRP(世界宗教者平和会議)の創設40周年記念事業(同日本委員会主催)が行われます。今から40年前、第1回WCRP世界大会が京都で開催され、宗教協力により、世界の平和、人類の安寧に貢献しようという先達の熱い志が結集し、WCRPが創設されました。今日まで、その志は受け継がれ、国際社会や地域、各国で平和のための具体的実践が展開されています。40周年を迎えたWCRPの歩みを振り返ります。


WCRPは平和を志す先達の熱意と行動力によって創設された。その精神は今も脈々と受け継がれている(1970年、京都での第1回世界大会)

WCRPは、1970年に京都で創設された世界の主要宗教の代表者による平和を指向する国際団体。国際委員会事務局は米・ニューヨークの国連本部前UNプラザビル内にあり、ジュネーブ、東京、シンガポールに地域事務局が置かれています。現在、約70カ国に国内委員会(IRC=諸宗教評議会)を持ち、バハイ教、仏教、キリスト教、儒教、ヒンドゥー教、イスラーム、ジャイナ教、ユダヤ教、神道、シーク教、道教、ゾロアスター教およびアフリカ・南北アメリカ・大洋州の先住民の諸伝統宗教の代表者が参加する世界最大規模の宗教協力・対話組織です。
これまでに8回の世界大会が開催され、それぞれにテーマを設けて宗教者の現代的役割を考察。特に第6回(ローマ、リバ・デ・ガルダ)には開会式にローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が臨席、第7回は初めてイスラーム圏(ヨルダン・アンマン)で開催されました。前回2006年の第8回は、再び京都で開かれ、席上、第1回の宣言文『我々は、しばしば、われらの宗教的理想と平和への責任とに背いてきたことを、宗教者として謙虚にそして懺悔の思いをもって告白する。平和の大義に背いてきたのは宗教ではなく、宗教者である』との一文の重要性が改めて確認されました。各大会で宣言を採択するとともに、それに基づいた行動計画により、具体的な実践が促されてきました。
また、国連の経済社会理事会で「総合協議資格」を有する国際的に認知された組織へと成長。1973年にNGOカテゴリーII、95年にNGOカテゴリーIの資格を取得しました。このような中で、国連や国際機関が開催する環境、人権、開発、軍縮などの国際会議に参加。90年には、ユニセフの要請を受け「子どものための世界宗教者会議」(米・プリンストン)を主催。昨年からは、ユニセフとの連携事業「宗教者による紛争下・後の子ども保護」にも着手しました。
執行理事会、管理委員会、常設委員会、国際評議員会、その他の専門家会議を世界各地で開催する一方、紛争解決や和解に向けた取り組みも活発に展開します。宗教を背景とした国際的な緊張に対して、92年に「WCRP中東会議」を東京と京都で開催。2001年の「米国同時多発テロ」の際にも、米・ニューヨークで「世界の諸宗教指導者による国際シンポジウム」を開きました。また、昨年末には、東京で「アフガニスタンの和解と平和に関する円卓会議」が行われ、紛争当事者らによる胸襟を開いた会合が持たれました。
国際委員会では、これまでにボスニア・ヘルツェゴビナ、シエラレオネ、スリランカなど紛争地での調停、和解活動にも取り組み、実績を積み上げてきました。G8サミット(主要国首脳会議)に際し、宗教者の提言をまとめる「G8諸宗教指導者会議」なども行われました。
WCRPには、ACRP(アジア宗教者平和会議)をはじめとした地域委員会が存在します。各国委員会は地域や各国の実情に即して活動を展開。その草分け的な存在である日本委員会は平和研究所、婦人部会、青年部会や研究部会を擁し、理事会・評議員会での定期的な議論をもとに研究集会、講演会、「サミット21」など多彩な活動に取り組んでいます。
また、06年の京都での世界大会に際し、初の青年世界大会が開催され、「広島宣言」を採択。その後、グローバル・ユースネットワーク(国際青年委員会)による協力の輪が世界で強化され、現在「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」が展開されています。
現代の政治課題を含んだ国際情勢、また、精神的な荒廃等の課題に対する対応が求められる状況下で、宗教者には多くの役割が課されています。40周年の記念事業は、宗教者の霊性と行動性の両面を重視した内容となります。京都での「イスラーム指導者会議」とシンポジウム、「奈良まほろばプログラム」などは9月26日付以降の『佼成新聞』で報じられます。


76年にはACRP(アジア宗教者平和会議)が発足。WCRPと共同でインドシナ難民救済事業が展開された(シンガポール)


第6回世界大会にはローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が臨席。WCRPにとり歴史的な瞬間でもあった(1994年、バチカン・シノドスホール)


90年から続く「日韓青年交流会」。過去の歴史を乗り越え信頼関係を築こうと、青年たちが真摯(しんし)な触れ合いを重ねる(95年、韓国)


WCRP日本委は各界の識者を招き、95年から5年間にわたりシンポジウム「21世紀への提言──日本会議」(サミット21)を開催した


米国同時多発テロ事件発生後、「世界の諸宗教指導者による国際シンポジウム」が開かれた(2001年、米国・ニューヨーク)

(2010.9.10記載)